ガマシュ警部シリーズ1作目。このシリーズはミステリーの色んな賞をいくつも受賞していて海外ではかなり評価が高く、新作が出る度にベストセラーになっている。読んでみると確かに賞を取りそうな内容で、それぞれのキャラクターの人間性を深く掘り下げて描いていて深みのあるストーリーが良かった。
ガマシュ警部は髪も薄くなってお腹も出ている50代のおじさんだけど、ミステリーの主人公にはなかなかいないタイプの温厚で優しい良い人だった。部下のジャン・ギーを息子のように可愛がっていて、二人の絆にほっこりさせられた。困った部下もいて、新人のニコルときたら本当に自己中で読んでいると腹が立つけど、ガマシュはそんな問題児にも辛抱強く接して教育しようとするところが偉いわ。
カナダのスリーパインズという、犯罪なんて起こりそうもない平和な村で、老婦人が殺害される事件が起き、ガマシュ警部達が捜査に向かう。村人たちの言動から、鋭く人柄を分析する警部の観察力が凄い。登場人物は多めで、小さな村の人間模様が興味深く描かれていて、それぞれのキャラクターにドラマがあり、地味だけど意外性のあるストーリーが面白かった。ルイーズ・ペニーは海外ではアンソニー・ホロヴィッツと並んで人気のある作家なので、ああいう地味系ミステリーが好きな人におすすめだと思う。
ちなみにこのシリーズもドラマ化されていて、アメリカでは prime video で配信中。Amazon originalだからそのうち日本でも配信されるかな?
(追記) 日本ではAXNミステリーが放映予定。
ちなみに1-2話が小説の2作目、3-4話が3作目、5-6話が4作目、7-8話は短編(未邦訳)のストーリーに基づいていて、シリーズ通して継続して捜査する事件(←小説にはないオリジナル)がサブストーリーとしてあるとのこと。