宣伝文句にRITA賞受賞作家とあるけど、この作品が受賞したわけではない。でも受賞していないのが不思議なくらい良い作品だった。傷ついたヒロインもの(と勝手にジャンルわけ)では、自分的にカレン・ローズ「誰かに見られてる」以来の大ヒット。とにかくヒーローが優しくてロマンティックで素敵すぎる~。
ヒロインは大学生の頃、シリアルキラーの餌食になって奇跡的に生還するも、ひどいトラウマのため当時付き合っていたヒーローにも何も告げずに故郷を去り、ヒーローは彼女を助けられなかったことをずっと悔やみ続けてる。だから10年後に彼女が実家に戻ってきて再会したら、片時も離れずに守ろうとする。その献身ぶりが素晴らしいのよ~。ヒーローはFBIの捜査官になってんだけど、彼女のためには私情はさみまくりで、勝手に家に住み込んでボディガードになってるし、とにかく彼女の案件を最優先にして上司にもたてつくし、本当に一生懸命で、ここまでしてくれたらヒロインも惚れ直すわよねぇ。
サスペンスとしても面白いんだけど、(犯人はなんとなく察しがつくんだけど、コイツだろうなと思いながら読んでも楽しめた。)、それ以上にロマンスが素敵で、久しぶりに良いもの読ませてもらったわ~。
残念なのは、この日本語タイトル。正統派のロマンティックサスペンスなのに、なんだかエロ小説みたいじゃない?二見文庫は昔から読んでて、(年がバレるがジョハンセンの「スワンの怒り」を初版で買ったのを持ってる。)ロマンティック・サスペンスで面白いのを出すのはやっぱり二見だと思ってるけど、最近の日本語タイトルのつけ方はなんか嫌だわ。やたらと“罪深く”て、“夜”に“愛”や“悦び”に“溺れ”てないですか?? まあ今回は内容の素晴らしさに免じてこのタイトルは許すけど。
甘い悦びの罠におぼれて (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション(ロマンス・コレクション))
- 作者: ジェニファー・L・アーマントラウト
- 出版社: 二見書房
- 発売日: 2018/09/21