ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

貧民街の貴婦人 クリスティ・コールドウェル

 前作「ルールをすべて破ったら」が割と良かったのでこちらも読んでみた。今作は、内容的にこの作者の翻訳されていない別のシリーズとの関連が深いようで、できればそちらを先に読みたかったかも。ヒーローは前作のヒロインの兄で、貧民街で虐待を受けながら育ち、他人に心を許さない賭博場経営者。同じようなキャラクターの話を何冊か読んだ気がする。まあ定番の設定よね。

  ヒロインは、スキャンダルまみれで社交界で敬遠されている一家の三女で、「家庭教師と結婚した」伯爵の兄、「妊娠して駆け落ちしたけど別の男性と結婚した」姉、「賭けの対象にされ財産狙いの男性と結婚した」姉がいて、この3人がそれぞれ主役の別のシリーズがあるらしい。作品内でこの兄・姉・姉が、それぞれ上の「」で囲んだ修飾語付きで何回も出てくるもんだから、”面白いからこっちのシリーズも読んでね”という作者の声が聞こえてくる気がしたわ。まあ別にヒロインの兄や姉の話を知らなくてもこれを読むのに支障はなかったけどね。

 どちらかというと前作のほうが好きだけど今作も悪くなかった。たまたま悪い場所で見つかってしまい、スキャンダルを避けるためにヒーローと結婚することになってしまって一生懸命新しい環境に溶け込もうとするヒロインがいじらしい。特別目新しい話ではなく、すごい傑作というわけではないけど、終盤は感動的で良かった。話の盛り上げ方が上手くてよくまとまっていたと思う。ここの出版社は次々新しい作家の作品を出してくれるけれど正直イマイチなのも多くて、もうちょっと厳選して出版してほしいんだけど、この作家は上手いほうだと思う。2作目が割と早く出たのも出版社が推してるからかな。だけどこの「貧民街の貴婦人」という日本語タイトルは少し的外れな気がする。ヒロインは結婚して賭博場に住むようにはなったけど、貧民街を徘徊しているわけではないし。

貧民街の貴婦人 (マグノリアロマンス)

貧民街の貴婦人 (マグノリアロマンス)

  • 作者: クリスティ・コールドウェル
  • 出版社: オークラ出版
  • 発売日: 2018/10/09
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The Scoundrel's Honor (Sinful Brides Book 2) (English Edition)

The Scoundrel's Honor (Sinful Brides Book 2) 

  • 作者: Christi Caldwell
  • 出版社: Montlake Romance
  • 発売日: 2017/02/14
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