ヒロインが貴族のスキャンダルのもみ消し請負人だというあらすじを見て、この時代にこんなフィクサーが本当にいたのかしら?ちょっと非現実的な設定じゃない?荒唐無稽な話じゃなきゃいいけど・・・と思って読み始めたら、意外と面白くてびっくり!実際、このシリーズの2作目と3作目がRITA賞を受賞したそうで、なかなかの大型新人だったのね。
公爵邸でのパーティーの最中に、客の伯爵が全裸でベッドに縛り付けられて死亡しているのが発見され、その家の令嬢が失踪したという、現代ならあり得るけど、この時代だと無理がありそうな話を、ちゃんと説得力のあるストーリーで読ませるところがすごい。ヒロインは頭が良く、ヒーローの妹の捜索にもなかなかの能力を発揮していて、そのぶんヒーローの影が若干薄い感じはするけれど、彼女の職業を考えるとそこは仕方ないかなと。探偵が本業のヒロインが、クライアントのヒーローに頼ってばかりだったら却って萎えるしね。ミステリーとしてよく出来ていて、ヒロインの魅力で読ませるけど、ロマンスが薄すぎるということもなく、惹かれあう2人の間の緊張感はよく描けていて、全体的にとても良かった。次作が楽しみ。(次も出るよね?)
- 作者: ケリー・ボウエン
- 出版社: 集英社クリエイティブ
- 発売日: 2018/08/21
Duke of My Heart (A Season for Scandal Book 1)
- 作者: Kelly Bowen
- 出版社: Forever
- 発売日: 2016/01/26
この作品が気に入ったので、マグノリアロマンスから先に出ていたこの作家のデビュー作、「忘れがたき記憶にとらわれて」も読んでみたら、こっちも良かった!デビュー作でこれだけ書けるなんて、やっぱり実力のある作家さんなのね。こちらは侯爵の夫の虐待から逃れるために自分の死を偽装したというヒロインのお話。2作読んで思ったのは、どちらもヒーローよりヒロインのほうが行動力があって活躍してるってことかな。だからと言って、ヒロインが考えなしに行動してイライラするということもないのでストレスなく読めます。2作ともヒストリカル・ロマンスにしては現代風のストーリーだけど、奇をてらっただけの嘘くさい話ではなく、よく練られていて面白い。ケリー・ボウエン、すっかりお気に入りの作家になりました。
調べてみたらこの「忘れがたき~」のほうもシリーズになってて続きがあるのね。是非続きを出してほしいけど、こっちは無理かなあ。
- 作者: ケリー・ボーエン
- 出版社: オークラ出版
- 発売日: 2015/09/09
I've Got My Duke to Keep Me Warm (The Lords of Worth Book 1)
- 作者: Kelly Bowen
- 出版社: Forever
- 発売日: 2014/12/16