ロマンス小説感想日記

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海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

隣の伯爵に恋をして シャリス・マイケルズ

 この原題、girl next door ならぬ “earl next door” って語呂が良くて上手いタイトルをつけたものよね。内容もタイトルと同じぐらい出来が良ければいいんだけど・・と思いつつ、あまり期待せずに読んだら結構面白かった。

 ヒーローもヒロインもトラブルを抱えていて恋愛してる場合じゃないんだけど、出会って恋に落ちてしまった。いや、ヒロインは割と素直なんだけど、ヒーローは意地でも恋なんてするもんかと抗い続けてて、その足掻きっぷりが面白い。

 裕福なアメリカ人のヒロインは嫌いな義兄と無理やり結婚させられそうになってイギリスに逃げて来た。イギリス人のヒーローは母親の病気の療養のためギリシャに行った時、お金を稼ぐためにギリシャのマフィアのような危険人物のところで働くようになってその仕事を辞められずにいたけど、叔父が亡くなって爵位を継ぎにイギリスに帰ることになり、それを機にヤクザな仕事から抜けようと、叔父の財産を処分したら外国に逃げるつもりでいた。(何でそんな危険人物の手下になったのか謎だったけど。一応良家の子息なんだから、もっと堅気の仕事はなかったんだろうか。)ヒーローが叔父さんの家で財産を処分している時に、隣の家にヒロインが越してきて話は始まる。

 ヒロインは英語で言うdamsel in distressタイプの、歩く災難みたいな人で、ヒーローは彼女を助けずにいられず、まずは望まない結婚から救うために求婚者のフリをする→本当に婚約する→実際に式を挙げて結婚するけど、後で無効にできるようにプラトニックにしておく→やっぱり初夜は一緒にベッドに入るけど寸前でやめておく→と思ったけど結局我慢できずに最後までしてしまう・・・って面白すぎ。ここまでツンデレなヒーローってそういないわね。

 ヒロインの親戚一同が彼女をアメリカに連れて帰ろうとイギリスにやってきて一騒動あったと思ったら、ヒーローの元ボスのギリシア人も彼を脅しにイギリスにやってきて、すったもんだしながらロマンスも進行するので気が抜けない。一難去らないうちにまた一難って感じ。さらにトラブル引き寄せ体質のヒロインは改装中の家の階段が崩壊して大怪我。いやもう最後に二人がくっついた時にはホッとした。どちらかと言うとドタバタコメディタイプの話だったけど、ロマンスは主役二人のやりとりに意外と深いものがあって良かったし、一応リージェンシーの雰囲気も感じられる文章で、やりすぎない適度なドタバタ感だったので楽しく読めた。脇役の近所の侯爵未亡人の老婦人が、いかにも貴族然としていて威圧的でいつもボソッと皮肉を言うんだけど根は良い人でなかなか良い味出してたと思う。これがデビュー作なら今後も期待が持てるかも。 

隣の伯爵に恋をして (ラズベリーブックス)

隣の伯爵に恋をして (ラズベリーブックス)

  • 作者: シャリス・マイケルズ,辻早苗
  • 出版社/メーカー: 竹書房
  • 発売日: 2017/10/10
  • メディア: 文庫
The Earl Next Door: The Bachelor Lords of London (English Edition)

The Earl Next Door: The Bachelor Lords of London (English Edition)

  • 作者: Charis Michaels
  • 出版社/メーカー: Avon Impulse
  • 発売日: 2016/03/01
  • メディア: Kindle

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