ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

あなたの疵が癒えるまで メアリ・バログ

 Survivors' Club  4作目。このシリーズは、最初は地味でやや精彩を欠く印象だったけど、だんだん面白くなってきた。今作は、戦争で頭を負傷して記憶に少々問題があり、言葉がつかえてしまうフラヴィアンがヒーロー。ヒロインは穏やかな生活を望む落ち着いた未亡人。前半は2人が少しずつ関係を深めていき、結婚に至るまでのロマンスが丁寧に描かれている。ヒーローの口説き文句はとてもロマンティックで、さりげないけど胸に響く。用心深い未亡人のヒロインもイチコロよね。言葉がつかえてしまうところも却って印象的で、皮肉屋で軽薄な色男っぽく振舞っていても真摯な感じが伝わってくる。自分の気持ちを掴みきれずに戸惑いながらもヒロインに惹かれ、彼女が与えてくれる安心感を切望している。こういうキャラクター造形はさすがメアリ・バログ、芸が細かいというか、複雑な人物像をうまく描き上げていると思う。このシリーズはどれもそうだけど、戦争で傷ついたヒーローたちもある程度回復していて暗すぎないところが良いと思う。実際、不幸の真っ只中で苦悩しているヒーローを描くほうが簡単だと思うけど、そうではなく、戦争の傷跡に苦しみながらも前向きに生きているところがより共感を呼ぶのではないかしら。

 後半は結婚後、ヒーローの家族と対面してからのすったもんだで、ヒーローの元婚約者の女性が今は夫を亡くして未亡人になっており、家族は2人の結婚を望んでいたことから、ヒロインが疎まれて気の毒な立場に陥ってしまう。それでもヒロインも負けずに立ち向かうのが爽快だった。前半は穏やかな雰囲気のロマンスだったけど、後半はハラハラさせられて面白かった。この元婚約者は、どうせ性格悪い嫌な女なんだろうと思って読んでいたけど、婚約当時の事実が明らかになってくると、とんでもない性悪女だった!いやもう申し分ないヒール役だわ。こういう意地悪女が出てきてこそ話が盛り上がるというもので、元婚約者のことなど知らなかったヒロインは傷ついてヒーローとの仲もこじれてしまうけど、一件落着して2人が幸せになれた時には本当に良かったと思った。心温まる話だけど、意外性もあり良く出来たストーリーで、とても面白かった。

あなたの疵が癒えるまで (ライムブックス)

あなたの疵が癒えるまで (ライムブックス)

  • 作者: メアリバログ,Mary Balogh,山本やよい
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2019/01/09
  • メディア: 文庫
Only Enchanting (A Survivors' Club Novel Series Book 4) (English Edition)

Only Enchanting (A Survivors' Club Novel Series Book 4) (English Edition)

  • 作者: Mary Balogh
  • 出版社/メーカー: Berkley
  • 発売日: 2014/10/28
  • メディア: Kindle

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