ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

危険な夜の向こうに ローラ・グリフィン

 似顔絵画家で犯罪捜査に協力しているヒロインと警察署長のヒーロー。ヒロインの妹が主役だった「危険な愛の訪れ」は、(だいぶ前に読んだからもう記憶が曖昧だけど)RITA賞のわりにはイマイチという印象だったけど、この姉妹だったら姉のほうが感情移入しやすいと思うので、今作のほうが読者受けは良いんじゃないかな。サスペンスはそれなりに良く出来ていて、そこそこ緊張感もあるけど、あまり派手な盛り上がりはなくこぢんまりとまとまった印象。

 ヒロインのキャラクターは好きだな。本当は犯罪捜査に関わるのは精神的にキツいからもうやめたいと思っているのに、頼まれると嫌とは言えなくて引き受けてしまう損な性格。妹が居候しに家に押しかけてきても断れず泊めてあげるし、画家として初めて開く個展のオープニングの日に、目撃者の少年が思い出したことがあると言い出したら、個展を放り出して駆けつけるし、本当に良い人。こういう女性には優しい恋人と幸せになってもらいたいのに、このヒーローはどうだろう。気が進まないヒロインに無理やり頼み込んで捜査に引っ張り込み、彼女に魅力を感じて強引に言い寄って、そのくせ恋愛関係には後ろ向きで、何なのこの男。おまけに10年前に被害に遭った目撃者がヒーローの元恋人で、今では別れて友達づきあいをしているって、何それ?ヒロインにその元恋人のことを隠そうとするのも卑怯だし。まあそのぶん不憫なヒロインに感情移入できて結果的にはそこそこ面白く読めたので良しとしよう。サスペンスがどちらかというと地味目だったのでロマンスのほうに関心が向いて、ヒーローのヒロインに対する無神経な言動がいちいち気になってしまい、ヒロインの気持ちを逆撫でするようなことを言うたびに、こんな男やめとけ!と思って読んでいたけど、そのおかげで退屈することはなかった。最終的にはヒロインが犯人に殺されそうになってヒーローが自分の気持ちに気付くという、ありがちなパターンでハッピーエンドに持ちこんだわけだけど、ヒロインが負傷してヒーローがかなり打ちひしがれていたから溜飲が下がって読後感は悪くなかった。

※あくまでも個人の感想なので、私のようにヒーローの粗探しをしながら読むのでなければ、仕事熱心な警官で見た目も素敵で、そこそこ魅力的なヒーローだと思います。

危険な夜の向こうに (二見文庫 ロマンス・コレクション)

危険な夜の向こうに (二見文庫 ロマンス・コレクション)

  • 作者: ローラ・グリフィン,米山裕子
  • 出版社/メーカー: 二見書房
  • 発売日: 2014/04/21
  • メディア: 文庫
Thread of Fear (The Glass Sisters Series Book 1) (English Edition)

Thread of Fear (The Glass Sisters Series Book 1) (English Edition)

  • 作者: Laura Griffin
  • 出版社/メーカー: Pocket Books
  • 発売日: 2008/09/30
  • メディア: Kindle

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