ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

危険な夜と煌めく朝 テス・ダイヤモンド

 これまたキラキラしたタイトルのロマサスだわね。作者の名前からして光り物だし。でも読んでみると、内容はどちらかというと地味で真面目なサスペンスだった。この作者のデビュー作らしく、頑張ってストーリーを練り上げて丁寧に書いたという印象だけど、その丁寧さのせいでややスピード感に欠けるような気がする。ヒロインには、子供の頃、姉と一緒に誘拐されて自分だけ生き延びたという過去があり、その影響でFBIの交渉人になったそうで、そういうバックグラウンドが詳しく説明されているし、作品の真ん中くらいで犯人が誰か明らかになるんだけど、なぜ誘拐犯になったか、順を追って事実がわかっていき、すごくわかりやすく書かれている。でもそんな風に一から十まで説明されなくても、読者は理解できると思うのよ。読者が推測する余地がほとんどないくらい情報過多なのはどうだろう。最近は展開が早くて、謎が謎を呼ぶ、みたいなサスペンスが人気だし、自分もそういう作品のほうが面白いと思うので、その点では、この作品はあまり好みではなかったかな。展開はよく考えてあって退屈はしなかったけど、デビュー作で書き方がまだこなれていない感じで、文章にあまりメリハリがなかったので、割と淡々とストーリーが進んでいく印象だった。もう少し余分な情報を削ぎ落しても良かったんじゃないかな。まあ、作者が細かく説明してくれるぶん、あまり深く考えずにサクサク読めるので、そういうのが読みやすくて良いと考える人もいるだろうけど。

 この作品の主役はあくまで交渉人の仕事に情熱を注ぐヒロインで、ヒーローはそれを支える役割だから、ちょっと影が薄かったわね。作者はヒロインに入れ込むあまり、姉を助けられなかった後悔や、今回の誘拐事件で被害者を助けられなかったらという不安をしつこいくらいに書いているけど、そのぶんヒーローの描写が手薄になっていて、ハンサムで素敵なのはわかるけど、いまひとつ表面的な描写にとどまってしまった気がする。元軍人という設定だけど、割とクールで、あまり熱血漢ってタイプじゃないので、ロマンスもあっさり目だったし。ラブシーンは一応あるけど、唐突すぎて、ロマンス小説だからそういうシーンも入れなくちゃ、と無理やり書いたような印象だった。ヒロインもヒーローも個々のキャラクターとしては良いんだけど、2人のロマンスには萌える要素があまりなかったわね。

 ロマサスにしてはロマンスが薄味で、だからと言ってサスペンスがそこまで緻密というわけでもなく、腑に落ちない部分もあったけど、(CIAが突然出てくるあたり、捻りを加えたつもりだろうけど、不自然だと思った。)ヒロインの一生懸命なキャラクターのお陰でそこそこ楽しんで読めたので、駄作ではないけど良作というにはちょっと足りない、という評価にしておこう。 

危険な夜と煌めく朝 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション(ロマンス・コレクション))

危険な夜と煌めく朝 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション(ロマンス・コレクション))

  • 作者: テス・ダイヤモンド,出雲さち
  • 出版社/メーカー: 二見書房
  • 発売日: 2018/07/23
  • メディア: 文庫
Dangerous Games

Dangerous Games

  • 作者: Tess Diamond
  • 出版社/メーカー: Avon
  • 発売日: 2017/03/28
  • メディア: マスマーケット

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