ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

カサンドラ 炎をまとう女 ミア・マーロウ

 特殊能力者集団MUSEのメンバーを主人公にした、“超能力ヒストリカル・ロマンス”だそうで、胡散臭さを感じつつも、たまにはこういう変わり種も良いかと読んでみた。この作者は以前はダイアナ・グロウとエミリー・ブライアンという別名義で書いていて、昔、E・ブライアン名義の「令嬢は密かに好奇心を満たす」という作品を読んだけれど、どちらかというとドタバタ系の底の浅い話でイマイチだった覚えがある。だからあまり期待せずに読んでみたところ、今作のB級SFみたいな設定が、この作者のやや低俗な(失礼!)作風と意外とマッチしていて思ったより面白かった。以下ネタバレ注意。

 ヒロインには火を操る能力があるのだけれど、貞操を失った際にその能力が開花したそうで、しかも、その能力の持ち主は性的に激しい性質を持っていて、そういう欲求を男性に満たしてもらわないと集中して火を操ることができないらしい・・・。何だか下ネタに直結した設定で笑える。ヒーローは他人に念を送って操ることができるのと、悪夢を見たら、それが現実になってしまう能力があるそうで、念を送る能力でヒロインを敵から守りつつ、彼女と親しくなりすぎて、彼女の出てくる悪夢を見ないように距離を置いているという、うまいこと考えたわねという絶妙な設定。他にも色んな能力を持つメンバーが出てくるけど、本格的なSFじゃないからそこまで世界観が作り込まれているわけではなく結構適当。でもそれが却って軽く読めて良いんじゃないかな。あまりに緻密な設定だと、どうしても説明っぽい文章になっちゃうので、ロマンス小説ならこれくらいが読みやすいと思う。

 ヒーローとヒロインが一緒に任務を遂行するのだけど、そのミッションというのが、怪しい乱交パーティもどきの仮面舞踏会に潜入することだったりして、真面目な任務の中にも卑猥さを織り交ぜる作者の努力(?)は買おう。終盤は、人の若さを吸い取るすごい敵が現れたり、若さを取り戻す秘宝が出てきたり、もう何でもありの展開。突っ込みどころはあるけれど、笑って楽しめたので良しとしよう。

カサンドラ 炎をまとう女 (マグノリアロマンス)

カサンドラ 炎をまとう女 (マグノリアロマンス)

  • 作者: ミア・マーロウ,Mia Marlowe,en,荻窪やよい
  • 出版社/メーカー: オークラ出版
  • 発売日: 2019/01/09
  • メディア: 文庫
The Curse of Lord Stanstead (Order of the M.U.S.E. Book 1) (English Edition)

The Curse of Lord Stanstead (Order of the M.U.S.E. Book 1) (English Edition)

  • 作者: Mia Marlowe
  • 出版社/メーカー: Entangled: Select Historical
  • 発売日: 2015/07/28
  • メディア: Kindle

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