ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

愛に降伏の口づけを マデリン・ハンター

 この作品を最後にもう5年近く翻訳が出ていないマデリン・ハンター。割と上手い作家だと思うけど、どちらかというと地味で真面目な作風だから、ロマンス小説としては華やかさが足りなくて人気が低迷したのかもね。個人的にはこういうシリアスなストーリーも良いと思うけど。今作は、美術品のオークションハウスを営むヒロインのお話。オークションに密輸やスパイの話も絡めて地味ながら面白かった。(でも美術関係の話だったら、この作者の最初に翻訳された「罪つくりな遺産」のほうが好きかな。)

 ヒーローは貴族でオークションハウスに出資している共同経営者。平民のヒロインは父親が事故で亡くなったため後を継いでオークションを開催しようとするけれど、ヒーローはもう店をたたんだほうがいいと思っていて、対立しながらもヒロインに惹かれ、結局彼女を助けるようになる。身分差のロマンスもそれなりに素敵だけど、密輸関係のストーリーが良く出来ていて面白い。脇役も興味深い人物が多くてスピンオフも読みたいところだけど続きはもう出ないだろうね。やっぱり全体的に地味なんだよね~。ロマンスも静かに盛り上がる感じだし、活劇部分もそこまで派手じゃないし、インパクトがちょっと弱いかなあ・・。でも最近のヒストリカルの新人作家は軽めのマンガっぽい話を書く人が多くてイマイチなので、そういうのを出すくらいなら、こういう手堅いベテラン作家を出してくれるほうがいいんだけど・・・。

愛に降伏の口づけを (ライムブックス)

愛に降伏の口づけを (ライムブックス)

  • 作者: マデリンハンター,Madeline Hunter,桐谷美由記
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2014/08/08
  • メディア: 文庫
The Surrender of Miss Fairbourne (Fairbourne Quartet Book 1) (English Edition)

The Surrender of Miss Fairbourne (Fairbourne Quartet Book 1) (English Edition)

  • 作者: Madeline Hunter
  • 出版社/メーカー: Berkley
  • 発売日: 2012/03/06
  • メディア: Kindle

無断転載禁止 copyright © 2018 BOOKWORM