ロマンス小説感想日記

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海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

壁の花へのプロポーズ キャンディス・キャンプ

 キャンディス・キャンプが、クリスティン・ジェイムズ名義で書いたアメリカン・ヒストリカル。初期の作品だから、最近のとは多少雰囲気が違い、粗削りなところもあるけれど、健気なヒロインと少し捻くれてるけど優しいヒーローの楽しいロマンスだと思う。

 ヒーローはバツイチの子持ち。以前とんでもない悪女と結婚していたせいで女性不信になっていて、娘のために再婚しようとするけれど、今度は従順で貞淑なおとなしい女性を娶って、決して妻を愛したりしないと決めている。ヒロインは両親を亡くし、妹、弟とともに伯母の家に引き取られたけれど、使用人のように働かされ、厄介者と思われているのに嫌気がさしていて、結婚したら妹と弟も一緒に面倒を見てやるというヒーローのプロポーズに同意する。始まりは契約結婚だけど、どんどん惹かれあっていくふたりの様子がとてもロマンティックに書かれていて、ときめきを満喫できる。この作者の最近の作品は、ちょっとしたミステリーを交えたストーリーになっているものが多いけど、これは割とシンプルなロマンスで、ヒロインを愛さずにいられないヒーローの葛藤がメインになっている。ヒーローの前妻が恐ろしいほどの性悪女で、二人の邪魔をするのがメロドラマ風。古い作品の割には夜の営みの部分も結構詳細に書いてあり、ヒーローが初夜の指南をするところなんかは甘美な描写のオンパレードで、これぞロマンスという感じ。実際たいした捻りもない、ベタなストーリーなんだけど、恋するふたりがお互いに相手に夢中な様子が伝わってきて、ニンマリしながら読めること請け合い。ストーリーよりもキャラクターの魅力で読ませるという感じ。最後の銃撃戦の場面が一応アメリカン・ヒストリカルっぽいけど、それ以外はたいして荒々しいところもなく、南北戦争後の殺伐とした雰囲気はあまり感じられない。時代設定はそれほど重要ではなく、相思相愛の二人が、お互いに相手の気持ちがわからず、ああだこうだと悩みつつじゃれ合っているという他愛ないストーリーの甘いロマンスだった。

壁の花へのプロポーズ (MIRA文庫)

壁の花へのプロポーズ (MIRA文庫)

  • 作者: キャンディス・キャンプ
  • 出版社: ハーレクイン
  • 発売日: 2014/08/07
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The Yankee (Legacy of Love S.)

The Yankee (Legacy of Love S.)

  • 作者: Kristin James
  • 出版社: Mills & Boon
  • 発売日: 1995/03/10
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