J・R・ウォードがジェシカ・バード名義で書いた初期作を今更ながら読んでみた。この作者はBlack Daggerシリーズが人気だけど、そっちは昔1作目だけ読んでみて、ヴァンパイアの世界にいまひとつハマれなかったので、それ以降読んでなかった。とは言っても上手い作者だと思うので、ヒーローが人間の作品があったら読もうと思っていたのよね 。今月出た新作も、消防士の話で面白そう。
今作のヒロインは考古学者で、ヒーローは企業の買収が専門の投資家。ヒロインが、ヒーローの所有地を発掘する許可を貰いに行って2人は出会う。ヒーローはこれまで女性を愛したことがなくて、適当な女性としばらく付き合っては飽きたら別れるのを繰り返していたけど、ヒロインに出会って強烈に惹きつけられ、彼女から目が離せなくなってる。ちょっと捻くれてるけどなかなか押しが強くて激しいキャラクターで良かった。2人とも相手に惹かれたくないのに、なぜか引き寄せられて気付けばキスしてたりして面白い。ロマンスに関しては、ヒロインが、ヒーローのガールフレンドに嫉妬して傷ついたり、ヒーローのほうはヒロインが発掘のパートナーとデキてると勝手に誤解して噛みついたり、割と俗っぽい展開で、予想と違ったけど思いのほか楽しめた。遺跡の発掘に関する壮大な謎解きとかがあるのかと思ったけどそうでもなく、メインは恋人同士のすったもんだ。そもそもヒーローの家のすぐ裏の山に発掘すべき遺跡があって、山にテント張って発掘作業をしつつ、好きな時にヒーローの家に行ってイチャイチャできるとか、都合良すぎて笑える。この作者の初期の作品だから、ストーリーはそこまで緻密じゃなく、詰めの甘いところがあったりはするけど、ツンデレカップルのやりとりが面白くてロマンスとしてはなかなか楽しめる作品だったと思う。キャラクターに存在感があって、2人の間の緊張感もよく描けていたし、初期作でもそういうところは上手いと思った。
これは3部作の1作目だけど続きは翻訳されてないのね。結構面白いと思ったんだけど人気なかったのかな。まあ、black dagger シリーズの人気にあやかって、初期作を出してみたのはいいけどあまり売れなかったというところだろうね。ヴィレッジブックスは以前はロマンス小説の面白い作品をたくさん刊行してくれていたのに、最近はもうイヴ&ロークのシリーズくらいしか出さなくなっちゃって残念だわ。
- 作者: J・R・ウォード,小田川佳子
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2013/06/20
- メディア: 文庫
Heart of Gold (English Edition)
- 作者: J.R. Ward
- 出版社/メーカー: Berkley
- 発売日: 2012/07/31
- メディア: Kindle版