2014年刊行の、この作者のデビュー作。あらすじがドタバタすぎる感じがして読むのを躊躇していたけど、ドタバタコメディでも、思ったほどハチャメチャなお笑いではなく、丁度良いユーモア感で面白かった。デビュー作がこれなら割と期待が持てそうな作家だと思ったけど、シリーズの続きは翻訳されてないのね。
起きてみたら、隣に男性が!しかも裸で!って、現代ものなら良くあるシチュエーションだけど、ヒストリカルだと少ないかも。とりあえず出だしはかなりのインパクトで掴みはOK。ヒロインはパニクってヒーローに室内用便器を投げつけて逃げる。逃げたはいいけど、昨晩どうやら彼と結婚してしまったらしいと気付き、無効にしてもらわなくちゃと、また彼を探すことに。ヒーローのほうは、財布がなくなっていることに気付き、ヒロインに盗まれたと思い込み彼女を探そうとする。お互いに相手を探してるのになかなか会えなくて、ロマンスが進行しないままどんどん頁が進んでいくから、ロマンス小説なのにそれはどうかという気がしないでもないけど、2人が再会するまでは、いろんな脇役が出てきて間を持たせている。酔っていて昨晩の記憶がないヒロインが、いろんな人に話を聞いて、自分がしでかしたことを知りショックを受けるわけだけど、読者も昨晩何が起きたかわかっていないので、ヒロインと一緒になってショッキングな事実が明らかになっていくのを楽しめた。そうこうするうちに2人は再会し、すったもんだしつつ恋に落ちる。コメディなので、うっとりするようなロマンスではないけれど、主役の2人とも好感の持てるキャラクターで良かった。
この作品は、secand sonというシリーズの1作目で、貴族の次男という跡継ぎではない微妙なポジションの男性が主役のシリーズらしく、このヒーローも父親との確執を乗り越えて仲直りしたり、笑いの中にちょっとした家族ドラマも盛り込んで、うまくまとめていると思った。デビュー作だからか勢いはあって、最後まで楽しめる作品だったけど、やや説明不足でストーリーが大雑把な感じはした。この作者の新しい別のシリーズの翻訳がMIRA文庫から出ているから、そっちは、もうちょっと完成度が上がってるかもしれない。そのうち読んでみよう。
夢見ることを知った夜 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション(ロマンス・コレクション))
- 作者: ジェニファー・マクイストン,小林浩子
- 出版社/メーカー: 二見書房
- 発売日: 2014/10/21
- メディア: 文庫
What Happens in Scotland (Second Sons Series Book 1) (English Edition)
- 作者: Jennifer McQuiston
- 出版社/メーカー: Avon
- 発売日: 2013/02/26
- メディア: Kindle版