ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

翡翠の女神の甘い誘惑 ジェニファー・アポダカ

 既に廃刊になっているオーロラブックスから10年くらい前に刊行された作品。有名な作家でもないし、こんな古い本の感想を今更読む人もあまりいないと思うけど、あまりにもツッコミどころ満載の作品だったので敢えて感想を書くことに。

 この作者のデビュー作は、コージーミステリーの「毒入りチョコはキスの味」で、(←昔読んでそこそこ面白かったと記憶しているけど細かいことは忘れてしまった。)デビューしてミステリーを5冊書いた後、ロマンス小説に転向している。今作は、この作者がロマンスを書き始めたばかりの頃の作品だからか、セクシーなロマサスを書こうと力みすぎてスベってしまった感がある。盗まれた女神像を私立探偵のヒーローと元会計士のヒロインが協力して捜し出すという話なんだけど、その像には人間の欲望をあらわにする作用があるとかなんとかで、設定に性的な含みを持たせようとしたはいいけど、なんだか意味不明。人の欲望をかきたてる像って、下ネタ系のギャグか?!と思ったが笑いの要素はなく、像をめぐって割と凄惨な殺人も起きる。真面目なミステリーなら女神像のへんてこりんな設定は無いほうが良かったんじゃ・・。

 ヒーローは幼い頃、両親を亡くし(父親は刑務所で死に、母親は腕に針を刺して死んだらしい。)親戚に引き取るのを拒まれて里親の家を転々とし、愛した女の子に去られた経験があり、従兄とは何やら確執があって敵対していて、大人になって軍隊に入り、(飛行機もヘリコプターも操縦できて、電子機器も爆薬も銃も得意だって・・)危険な任務で仲間を亡くし、PTSDに苦しんでいて、退役した後、美術品の捜索が専門の探偵として有名になったはいいけど、探偵の腕だけでなく、女たらしでその道の達人としてマスコミで評判になっている・・って、経歴盛りすぎだろ。ロマサスのヒーローらしき要素をあれもこれも詰め込んだ結果、嘘くさいキャラクターに。

 ヒロインは会計士だったけど、恋人が会社のお金を持ち逃げしたせいでクビになり、今はラジオ番組の人生相談で、男に騙されない方法をアドバイスしている。(会計士とラジオのパーソナリティーって全く畑違いな気がするけど、華麗に転職してすごいわね。)母親は、娘を愛してはいるけど、男にだらしなくてしょっちゅうトラブルを起こしているし、父親は、ラジオで有名になった娘にお金をせびりに来るロクデナシ。人間関係の問題てんこ盛りで、本筋の女神像の盗難事件とロマンスだけで十分なのに、困った家族も加わってお腹いっぱい。

 頑張って色々盛り込みすぎてストーリーにまとまりがないのよね。最初はヒロインのことを信用していなかったヒーローがだんだん彼女を愛するようになるけど説得力が乏しい。心情は書いてあるけど決まり文句が並んでる感じで、気持ちが伝わって来なくて白けちゃう。ロマンス小説の本質がわかっていない人が書いたロマサスという感じがして、残念な作品だったわ。

 それでも、この作者は今はJennifer lyonというペンネームでロマンスを書いていて、そこそこ人気があるようなので、最近の作品は面白いのかもしれない。たくさん書いていればだんだん上手くなっていくだろうし。翻訳が出ることはないだろうけど。  

翡翠の女神の甘い誘惑(オーロラブックス)

翡翠の女神の甘い誘惑(オーロラブックス)

  • 作者: ジェニファー・アポダカ,清水由貴子
  • 出版社/メーカー: 宙出版
  • 発売日: 2009/08/10
  • メディア: コミック

↑アマゾンではなぜかコミックになっているけど小説です。

Extremely Hot

Extremely Hot

  • 作者: Jennifer Apodaca
  • 出版社/メーカー: Brava
  • 発売日: 2007/11/01
  • メディア: ペーパーバック

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