マクラウド兄弟シリーズついに完結!ここ何作かは登場人物が超能力者だらけになって、シリーズ初期とは別物になってしまったようで残念に思っていたけど、最終作は超能力者は出てこない真っ当なサスペンスで原点回帰という感じ。あのサイキック路線は苦手だったので、久しぶりにとても楽しめる作品だった。
ストーカーちっくな変態ヒーロー(?)を書かせたら右に出る者がいないシャノン・マッケナだけあって、ヒロインへの執着が病んでるレベルの粘着質なヒーローが強烈だった。ヒロインを誘惑して強引に支配しているようで、実は彼女に主導権を握られていて、彼女のためなら何でもするヒーロー。ここまで愛されたらストーカーでもOKよね。フィフティ・シェイズが流行って以降、SMロマンスが色々出たけど、そういう要素がなくてもこれだけ濃い関係を書けるってすごい。流石は元祖エロティック・サスペンスの女王?!
サスペンスは、ウクライナのマフィアだとか恐ろしい敵が出てきて、いつものことながら結構グロい。でもこのエロ・グロ・サスペンスがこの作者の持ち味で、B級映画のような猥雑な感じが読みだしたらやめられない。刑事だけど実家は裕福で、投資の才能もあるヒーローは、イタリア行きの飛行機のファーストクラスのチケットをポンと買えちゃうくらいのすごい金持ち。サスペンスの合間には、ヒロインがパーティーで着る高価なドレスをいっぱい取り寄せてホテルの部屋で彼女にファッションショーをさせたりするゴージャスな場面も。警官なのに超リッチって、アメリカ女性の願望入った設定で笑える。そういうところはいかにもロマンス小説という感じだわね。ヒロインは、過去の辛い経験から男の人とうまく付き合えず、ヒーローのことも遠ざけているけど、実は携帯に彼の写真を何百枚も保存してたり、実はお似合いの二人だった。
1作目「このドアの向こうで」の盗撮ヒーローに衝撃を受けて以来、シリーズを読み続けてきたけど、これで終わりかと思うと寂しいな。この作者にはこれからも愛すべき変態ヒーローを書き続けてほしいわね。
In For the Kill (The Mccloud Brothers Series Book 11)
- 作者: Shannon McKenna
- 出版社: Zebra
- 発売日: 2015/09/29