南北戦争後のアメリカが舞台のウエスタン・ロマンス。この作品は翻訳されたのは最近でも、原書が刊行されたのは1992年とかなり古い。最近のロマンス小説は、どちらかというと心理描写過多で、主人公の心情を事細かに説明する作品が多い気がするけど、今作は、書かれたのが昔だからか心理描写はあっさり目で、キャラクターよりもストーリー重視という印象。説明は必要最低限でどんどん話が進んでいくので、テンポ良く読めるのはいいけど、それほど感情移入することもなく、単にストーリーを追うという読み方になってしまい、ロマンス小説の醍醐味はあまり味わえないかも。
ストーリーも、つまらないわけではないけれど、この時代に、跡継ぎはほしいけど妻はいらないから、子供を産んだらさっさと出て行ってくれる女性を新聞広告で募集するという設定がいまひとつ納得できないし、いくら家族にお金が必要だからといって、そんな仕事に応募するヒロインにも共感できない。好みの問題かもしれないけど、ヒーローもヒロインも、キャラクターとしての魅力があまり感じられなかった。ヒーローのチェロキー族の親戚が出てきたり、ヒロインのおばさんの秘密が明らかになったり、盛沢山なストーリーが駆け足で進行し、あっけなくハッピーエンドという感じだったので、もう少し余韻が感じられると良かった。サクサク読めてそれなりに面白いけど、読んだ後あまり印象に残らない作品だと思う。