ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

灼熱の瞬間 J・R・ウォード

 J・R・ウォードの最新シリーズ Firefighters の1作目。冒頭の火災現場の場面から話に引き込まれ、夢中になって読んでいた。手に汗握るというのはこういうことを言うのよね。燃える建物の中で落下物に腕を挟まれ逃げられなくなった消防士のヒロインを命懸けで助けに来たヒーロー。自分を置いて逃げるよう彼を説得するヒロインに、彼女を置いていくくらいなら自分も一緒に死ぬと言うヒーローに泣いた。死を目前にした思いが本当にリアルで鳥肌が立った。ヒロインは苦渋の決断で、挟まれている腕をヒーローに斧で切断してもらうことに・・。こんな辛い決断ってないわ。2人とも辛すぎる・・。気づけばもう完全に主人公の気持ちにシンクロしてた。すごいね、この作者。お見事と言うしかない。こんなにのめり込んで読める作品ってなかなかないと思うわ。これは稀に見る傑作じゃないかな。

 腕を失って消防士としてのキャリアが終わり、火災捜査官になったヒロイン。天職だと思っていた仕事を失った悲しみや、五体満足でなくなった絶望が胸に迫ってくる。それでも前向きに火災捜査官としてやっていこうとする強さが素晴らしい。愛する女性の腕を自ら切断しなければならなかった苦しみで自暴自棄になっているヒーローを説得して立ち直らせようとまでするんだから。女性とは後腐れのない関係しか持たないヒーローも、ヒロインにはぞっこん惚れ込んでしまったのも納得。消防士仲間だったときのお互いへの信頼と尊敬の気持ちが土台にあるから、ロマンスもすごく説得力がある。ヒーローにとってヒロインは唯一無二の存在で、彼女に何があっても愛は揺らがないんだけど、不器用でそれをうまく伝えられないでいるのがもどかしい。腕を失った自分に対するヒーローの反応を不安に思うヒロインの気持ちもすごくよくわかる。これほどお似合いの2人なのに、どちらも素直じゃなくてやきもきさせられたけど、最後にお互いの気持ちを確かめ合えて本当に良かった。

 放火事件の真相を解き明かすサスペンスもさることながら、消防士たちの人間ドラマもかなり読み応えがあった。作者は消防士について相当リサーチしたんだろうな。600頁越えの長編だけど、全く長さを感じなかった。2作目はまだ原書も刊行されていないけど、出たら絶対読みたい。翻訳が出なかったら泣くわ。出版社さん、お願いします。

灼熱の瞬間 (ザ・ミステリ・コレクション)

灼熱の瞬間 (ザ・ミステリ・コレクション)

  • 作者: J.R.ウォード,J.R. Ward,久賀美緒
  • 出版社/メーカー: 二見書房
  • 発売日: 2019/05/21
  • メディア: 文庫
Consumed (Firefighters) (English Edition)

Consumed (Firefighters) (English Edition)

  • 作者: J. R. Ward
  • 出版社/メーカー: Piatkus
  • 発売日: 2018/10/02
  • メディア: Kindle

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