ロマンス小説感想日記

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海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

愛の炎を瞳にたたえて エリザベス・ホイト

 エリザベス・ホイトの新シリーズ Greycourt の1作目。15年前に起きた衝撃的な事件、“グレイコートの悲劇”。事件に関わった人たちはスキャンダルに見舞われ、友情を失い、人生が変わってしまった。ヒロインもその関係者の1人で、公爵令嬢にもかかわらず今は正体を隠して貴族のレディのコンパニオンとして働いている。さらに彼女には秘密があり、実は女性だけの秘密結社“ワイズ・ウーマン”の一員として密かに活動していて・・・というなかなか凝った設定ながら、ヒロインが任務のため、悪者に追われて逃走している冒頭の場面から一気に読者を引き付け、秘密結社について簡潔に説明を加えつつ、読者がすんなり物語の世界に入っていけるようになっているのは流石だと思う。よくある煌びやかなリージェンシーものではなく、独自の世界観があって、やはりこの作者はなかなかのストーリーテラーだと改めて思った。

 エリザベス・ホイトはこれまでの作品も全て読んでいて、どれも独特の雰囲気があると思うけど、最近は、Maiden Laneシリーズの“セントジャイルズの亡霊”や、このシリーズの“ワイズ・ウーマン”のように、正体を隠して正義のために暗躍する人々が出てきて、悪を成敗するヒーローものみたいな少年マンガ的要素が加味されているのが面白いと思う。色んな要素が盛り込まれている割には読みやすく、ロマンスも濃厚で深みがあり、本国で高い評価を得ているのも納得。

 今作は、ヒロインが秘密結社のメンバーで活動的な女性だから、そのぶんヒーローは哀愁を漂わせたちょっと影のあるタイプで、使命に燃える彼女を守り支えるところに大きな愛を感じた。彼もまた15年前の事件で傷ついていて、他人と関わらず、飼い犬だけに愛情を注いでいる孤独さにキュンとさせられる。こういう母性本能をくすぐるタイプのヒーローもなかなか良いわよね。ヒロインが事件の後絶交していた親友の女性との友情を取り戻せたのも感動的だったし、最後まで目の離せない展開で、期待を裏切らない面白さだった。次作も楽しみだな。

愛の炎を瞳にたたえて (ライムブックス)

愛の炎を瞳にたたえて (ライムブックス)

  • 作者: エリザベス・ホイト,緒川久美子
  • 出版社/メーカー: 原書房
  • 発売日: 2019/07/05
Not the Duke's Darling: Includes a bonus novella (The Greycourt Series Book 1) (English Edition)

Not the Duke's Darling: Includes a bonus novella (The Greycourt Series Book 1) (English Edition)

  • 作者: Elizabeth Hoyt
  • 出版社/メーカー: Forever
  • 発売日: 2018/12/18