ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

気絶するほどキスをして リンゼイ・サンズ

 以前このブログに、L・サンズの現代のスパイもので未訳の作品があって面白そうだと書いたけれど、本当に出るとは思わなかったな。シリーズものの3作目だから(1、2作目は別の作家が書いてる)どうかと思っていたけど、読んでみたら単独でも問題ない内容だった。

 今作は、この作者がヴァンパイアもののシリーズを書き始める前の作品で、恐らく初めて書いた現代ものだと思うけど、笑えるスパイものが新鮮で良かった。(最近は似たようなヒストリカルばかり翻訳されて少し飽きていたので・・)初期の作品だしストーリーが雑な感じはするけど、笑いと勢いでそれをカバーしていると思う。ヒロインの名前がジェーン・スパイラスで、敵の名前がダーク・エンセクシとか、ネーミングからしてギャグだし、タンポン型追跡装置とかバイブレーター型ミサイルとか、しょうもないアイディアだけど笑える。ヒーローが会計士で(でも肉体はムキムキ)割と普通っぽいのが好感度高かった。ロマンス面では自白剤入り香水が良い仕事してたな(笑)。

 諜報機関の開発部門でスパイ機器の発明家として地味な仕事をしていたヒロインが、なりゆきでスパイとして働くことになり、慣れないスパイ稼業に奮闘しているうちに素敵な恋人もできて・・・というサクセスストーリーに、スパイ・コメディを掛け合わせた娯楽映画の王道のような展開が痛快で楽しかった。文句を言うとすれば、一応スパイものなんだから、もう少しあっと驚く展開があったり、意外な黒幕が出てきたりしたら良かったのに、笑いに走りすぎてサスペンスがかなり適当になっているのが少し残念だったかな。

 それでもこの作者は翻訳はもうヒストリカルしか出さないと思っていたのに、現代ものが読めて良かった。せっかくだから、ヒストリカルと似たような表紙じゃなくて、ヴァンパイアものの時みたいなイラストの表紙にすればよかったのに。 

気絶するほどキスをして (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション(ロマンス・コレクション))

気絶するほどキスをして (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション(ロマンス・コレクション))

  • 作者: リンゼイ・サンズ,.,水野涼子
  • 出版社/メーカー: 二見書房
  • 発売日: 2019/11/21
  • メディア: 文庫
The Loving Daylights

The Loving Daylights

  • 作者: Lynsay Sands
  • 出版社/メーカー: Avon
  • 発売日: 2014/12/30
  • メディア: マスマーケット

無断転載禁止 copyright © 2018 BOOKWORM