The ravenelsシリーズ4作目。安定の面白さ。今作のヒロインは英国初の女性医師。実在の人物をモデルにしているそうで、作者にとっても思い入れのある作品らしい。当時の医療事情を入念にリサーチしたに違いなく、医師として働くヒロインにリアリティが感じられ、魅力あるキャラクターになっていると思う。立派な仕事に就き、聡明で自立した女性なのに、ヒーローの前では恋する乙女みたいになってしまうのがとても可愛い。
ヒーローもそんなヒロインに心底惚れ込んでいて、夜遅くまで仕事をしている彼女をを陰で見守り、危険な時に鳴らせるように笛をあげたりするところが優しくて素敵。ヒロインがしばらくヒーローに会えずにいて、寂しくなって笛を鳴らしてしまうエピソードとか本当に上手いわ~。政府の諜報員という、いつ殺されてもおかしくない危険な仕事をしている怖いもの知らずの彼が、ヒロインと付き合うようになったら即座に仕事よりも何よりも彼女が最優先になるところが潔くて、いかにもこの作者の書くヒーローらしい。本筋とはあまり関係ないのになぜかインドで女性を歓ばせる性愛術を学んでいて、無駄に色んな技を習得してたりするところも(笑)。
アイルランド訛りのあるヒーローは口説き文句もすごくロマンティックで雄弁に愛を語るのが素晴らしい。やはりアイルランド人=詩人というイメージがあるからかな。素敵な言葉で愛を囁くヒーローに対し、リケジョのヒロインは言葉を飾ることは得意じゃなく、ストレートに気持ちを伝えるけれど、そんな対照的な2人が良かった。ヒロインは言葉よりも行動で愛を示す人で、銃で撃たれて瀕死のヒーローを何とか助けようと、難しい手術を行い必死で看病するのが感動的。文句のつけどころなく面白かった。リサ・クレイパスにハズレはないわね。
Hello Stranger: The Ravenels, Book 4 (English Edition)
- 作者:Lisa Kleypas
- 出版社/メーカー: Avon
- 発売日: 2018/02/27
- メディア: Kindle版