ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

そして、きみが教えてくれたこと コリーン・フーヴァー

 この作者は本国では相当な人気作家のようで、今月出る新刊も気になっているのだけど、数年前に刊行されているデビュー作が未読だったので、そちらをまず読んでみた。 

 こういう学園もののYA小説を読むのは久しぶりだなあ。裏表紙のあらすじから想像したのとはだいぶ違う話だったけど面白かった。原題の“Slammed”は、パフォーマンスしながら自作の詩を朗読する“poetry slam”から来ているのね。ポエトリー・スラムというものを初めて知ったけど、なかなか興味深いわね。

 高校生のヒロインは父親が病気で亡くなって母子家庭になり、経済的に苦しくなって母と幼い弟と3人でミシガンに引っ越すことになる。幸せな家族に突然訪れた不幸が悲しすぎて泣ける。父親との思い出のエピソードには胸を打たれた。優しいお父さんだったのね・・・。ヒロインは、引っ越し先の向かいの家に素敵な青年が住んでいて恋に落ちるけど、2人には付き合うことができない大きな障壁があることがわかってショックを受ける。父親を亡くしたヒロインも気の毒だけど、ヒーローのほうも不幸な境遇で、それでも精一杯頑張っている姿が感動的だった。2人の切ない恋も良かったし、人生に関して考えさせられる深いものがあった。

 作品の読みどころは、やはり詩を朗読する場面で、登場人物それぞれが激しい感情を吐露する言葉に圧倒された。詩の部分の日本語訳をプロの詩人が監修しているらしいけど、確かにストーリーの中で詩が重要な位置を占めていて、短いフレーズに深い意味が込められているから散文よりも心に残ると思う。このデビュー作が話題をさらってベストセラーになったというのも納得で、なかなか斬新な作品だったと思う。続きが翻訳されてなくて残念だわ。 

そして、きみが教えてくれたこと (ヴィレッジブックス)

そして、きみが教えてくれたこと (ヴィレッジブックス)

Slammed: A Novel (English Edition)

Slammed: A Novel (English Edition)

  • 作者:Colleen Hoover
  • 出版社/メーカー: Atria Books
  • 発売日: 2012/08/10
  • メディア: Kindle

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