孤児を引き取っている未亡人の元で育った血のつながらない兄弟たちが主人公の、Sins for All Seasons シリーズ2作目。
今作はズボンをはいて髪を短くし、男性のような格好で酒場を経営している長女のジリーがヒロイン。追いはぎに襲われ瀕死の状態のヒーローを助けて家で介抱したのがきっかけで彼と恋に落ちるけれど、公爵と酒場の経営者ではあまりにも身分が違いすぎる。いつかは別れなければならないと知りつつ今だけは一緒にいたいと願う切ない女心が泣ける。ヒーローは優しくて良い人でヒロインにぞっこん惚れ込んでいるけれど、公爵としての義務で貴族の妻を娶らなければならないから彼女とは結婚できない。よくあるパターンの身分違いの恋のお話だけど、怪我したヒーローをヒロインが看病したり、(体を拭く時に彼の裸を見て赤面するのはお約束の展開よね)、ヒロインが舞踏会に招かれ、美しいドレスで着飾って登場しヒーローを魅了したりするエピソードは、ロマンス小説の読者のツボをついていて楽しい。身分違いとは言え、ヒーローが割と一途だったので安心して読めたけど、個人的には波乱万丈な話が好きなので、この2人は一緒になれないんじゃないかと、もっとハラハラさせられるような展開があると良かったかな。ヒーローのは母親が冷たくて嫌な人かと思っていたら意外と良い人で、意地悪キャラがいなかったのでちょっと物足りない気がした。
前作では、ヒロインは男っぽく地味でぱっとしない印象だったから、あまり魅力的に思えなかったけど、主役になったらなかなか素敵なキャラクターで、さばさばした性格は女性から見ても好感が持てるし、男っぽくてこれまで恋したことがなかった彼女が、初めての恋にときめくところが良かった。特別捻りのあるストーリーではないけれど、2人が恋に落ちるエピソードはロマンティックだし、惹かれあう気持ちが丁寧に書かれていて上手い。次作も楽しみにしてます。
When a Duke Loves a Woman: A Sins for All Seasons Novel
- 作者: Lorraine Heath
- 出版社: Avon
- 発売日: 2018/08/21