ゴールデンハート賞を受賞した新人作家のデビュー作だそうで。今年のRITA賞でBest first bookとHistorical Romance shortの2部門にノミネートされていたけど受賞には至らなかったみたい。調べたところ受賞したのはマリー・トレメインとケリー・ボウエンでした。M・トレメインは少し前に翻訳が出てたけど読んでないな。
それはさておき、この作品は新人のデビュー作にしては割と面白いほうかな。地味な壁の花のヒロインと放蕩者のヒーローのロマンス。よくある組み合わせだけど、キャラクター描き方が丁寧で良かった。オールドミスで将来を悲観してるヒロインの嘆きが切実で思わず同情してしまう。ヒーローは昔起きた家族の悲劇のせいで心に闇を抱えていて、その苦しみを紛らわすために放蕩者のようにふるまっているけど根は良い人。2人はまず友達として付き合い始める。ヒロインが、イケメン男子の友達ができて舞い上がり、今のうちに寂しい将来に備えて思い出をつくっておこうと、急に冒険し始めるエピソードがあって、サラ・マクリーンのデビュー作がそんな話だったなと思いだした。S・マクリーンの作品は、地味なオールドミスヒロインのストーリーとしては秀逸で、C・ブリトンは頑張ってはいるけどそれには及ばないという印象。まあ、この作品は壁の花ヒロインの冒険よりも、苦悩していたヒーローがヒロインに癒され、家族と和解するストーリーが主体のように思うので、比べるのもなんだけど。
後半は、ヒーローの家族の問題を引っ張りすぎて少し冗長な気がしたし、ヒロインが、ヒーローに愛されてないから結婚できない!と思い込み、理由も言わずにひたすら求婚を拒絶するのに辟易させられてやや失速。ヒストリカルでは、結婚しないと言い張るヒロインって多いけど、あまりに頑固だと読んでてげんなりしちゃうわよね。それと、ヒーローが突然降ってわいたように彼女を愛してると自覚するパターンもよくあるけど、唐突すぎて不自然に思える。ヒロインもヒーローも、この残念なパターンだったのは減点だけど、最後にヒーローが妹と和解できたところは感動的だったし、全体的には悪くなかったと思う。
With Love in Sight (The Twice Shy Series)
- 作者: Christina Britton
- 出版社/メーカー: Diversion Publishing
- 発売日: 2018/03/27
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