この作者の本国でのデビュー作。先に出た「危険な愛に煽られて」は今作よりだいぶ後に書かれた作品。「危険な~」は一応サスペンスだったけど、これは警官がヒーローのHotなロマンスという感じかな。この原書を出版しているのがEntangledというロマンス小説専門の出版社で、たぶんハーレクインみたいなところだと思うので、これもcategory romance的な作品なのかな?ヒーローは警部補だけど、捜査の話は省いて2人のロマンスに焦点を絞り、短くまとめているのはページ数が決められているためじゃないかと推測する。テンポ良く読めて面白かったけど。
デビュー作で一躍人気作家になったというのも納得で、ヒーローの卑猥なトークが強烈で、勢いのある作品だった。翻訳でも十分楽しかったけど、日本語はダーティーな言葉のバリエーションが英語よりも少ないから、たぶん原書よりマイルドになってると思う。ヒロインの南部訛りも日本語ではうまく伝わらないし。やはりそこに翻訳の限界があるわよね。
ヒーローはヒロインと出会った時から欲望全開。でも際どいトークとは裏腹に結構良い人で、親身になってヒロインたち姉妹の世話をしていて、基本はナイスガイなので安心感がある。ヒロインは長年バーテンダーをしていて男のあしらいはお手のものだけど、実は男性との関係には初心なものだから、そんなギャップにヒーローがメロメロになるのも納得。デビュー作だからか、作者の萌えの要素が詰め込まれてるような感じで、それで人気が出たということは、やはり、卑猥な言葉をささやくヒーローや、蓮っ葉に見えて実は初心なヒロインに萌える読者が多いんだろうね。この作品が作者の原点で、「危険な愛に~」はその発展形という感じかな。今作はデビュー作ならではの勢いがあり、「危険な~」のほうはサスペンスの度合いが高くなって、より洗練された印象だけど、根本的なキャラクター設定は似ていると思う。Dirty Talkが売りとは言ってもそればかりでは飽きられると思うけが、デビュー以来たくさんの作品を書いていて、人気を保っているようなので実力があるんだと思う。面白い作家なので、これからも翻訳を出してほしいな。
Protecting What's His (A Line of Duty Book 1) (English Edition)
- 作者: Tessa Bailey
- 出版社: Entangled: Brazen
- 発売日: 2013/02/25