ロマンス小説感想日記

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海外ミステリーとロマンス小説のブックレビュー

今宵の誘惑は気まぐれに リンゼイ・サンズ

  L・サンズの中世ヒストリカル。中世でも舞台はイギリスだからハイランダーものとは少し違う。時代考証を気にするような読み物ではないと思うけど、中世でも後期ならわかるが1100年頃に、こんな風に結婚と財産の相続について弁護士が管理してたのだろうかとちょっと思ったりして。(別に中世の歴史に詳しいわけじゃないのでよくわからないけど。)いつもどおり、笑えて楽しいラブコメだったけど、初期作だからか、やや詰めが甘いような。

 伯父の遺言でヒロインと結婚するように言われたヒーローは、彼女のことを私生児の村娘だと思い込んでいたので、かなり失礼な態度をとって怒らせてしまう。老女の予言でヒーローが這いつくばるまで求婚を受けてはいけないと言われたヒロイン。這いつくばることに何か意味があるのかと思ったけど、特に深い意味はなかった。実は貴族のレディのヒロインは何やら複雑な生い立ちで、子供のころから誰かに命を狙われているため、隠れて暮らしている。何とか名誉挽回して結婚に漕ぎつけたヒーローがヒロインを守りながら、彼女の生い立ちの謎を探るという内容で、そこにいつもの下ネタ系のギャグをはさんで笑わせつつ、危機を乗り越えることでお互いの気持ちを確かめ合ってハッピーエンド。ヒロインの素性が謎に包まれているのがミソで、ヒーローの伯父の残した手紙で明らかになるんだけど、手紙に全てが書かれていたというのでは謎の解け方としては少しあっけない気がした。最後に本当の父親との対面やら、犯人との討ち合いやら色々騒動が起きてバタバタとエンディング。終わりのほうに色々詰め込みすぎな気もするけど、この作者はいつもこんな感じか。気軽に楽しめる中世もので、そこそこ面白かった。 

今宵の誘惑は気まぐれに (二見文庫ロマンス・コレクション)

今宵の誘惑は気まぐれに (二見文庫ロマンス・コレクション)

  • 作者: リンゼイ・サンズ
  • 出版社/メーカー: 二見書房
  • 発売日: 2019/10/01
  • メディア: Kindle
What She Wants

What She Wants

  • 作者: Lynsay Sands
  • 出版社/メーカー: Avon
  • 発売日: 2011/04/26
  • メディア: マスマーケット