ロマンス小説感想日記

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海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

スプーン一杯のロマンス スーザン・マレリー

 昔、スーザン・マレリーの「~~・ロマンティック」というタイトルの文庫の3部作が割と面白かったので、この新書の長編4部作もそのうち読もうと思いながらずっと放置してた。やっとシリーズ読破したので、まとめて感想を。古い作品なので今更読む人も少ないかと思い、かなりネタバレしていますのでご注意を。

 スプーン一杯のロマンス

 1作目は、離婚したカップルがヨリを戻す話。レストランの支配人のヒーローとシェフのヒロインが一緒に働くことになってロマンスが再燃するのだけど、ヒロインは離婚後男に見切りをつけ、一人で子供を持とうと人工授精して、妊娠中の状態でヒーローに再会するというタイミング悪すぎな状況。この手の話はあまり好みじゃないのよねえ。離婚した時の状況も、ヒーローが悪くてヒロインが出て行ったのも当然だったので、あまりヒーローに肩入れできなくて、ロマンス自体は微妙だったけど、ヒーローの抱えていた秘密には意表を突かれたし、レストランチェーンを営むヒーローの一族の家族ドラマが秀逸で、孫たちを支配しようとしている、意地悪を通り越して凶悪な祖母が強烈だったので、続きが気になり2作目も読むことに。

 

愛をあきらめないで

 2作目は次男で元軍人のヒーローの話。ヒロインは幼い娘のいるシングルマザーなんだけど、経歴がすごくて、若い時に家出してミュージシャンのグルーピー(!)になったという。若気の至りとはいえちょっと引く。ヒーローは若い時、恋人を癌で亡くしていて、恋人を看取るのが悲しすぎて逃げ出してしまった自分をずっと責めている気の毒な人なので、相手はもうちょっと癒し系の女性が良かったんじゃないかという気がして、これまたロマンスはちょっと好みと違ったんだけど、脇役の家族が良い味出してて、特に三男の女癖の悪すぎるチャラ男の元野球選手が面白すぎるので彼が主役の3作目へ

 

プレイボーイに魅せられて

 これはかなり面白かった。女たらしで遊び人のヒーローと地味で真面目な看護師のヒロイン。究極のプレイボーイが本気で恋して、これまでの自分を見つめ直すのが良かった。女好きだけど憎めないヒーローで、ちょっとヘタレなところがいい。前作まではとんでもなく性悪で孫たちをいびっていた祖母がヒロインのお陰で改心したのが驚きだった。この婆さんには最後まで悪役でいてほしかった気もするけど。全体的にはユーモラスな内容だけど、ヒロインの姉のエピソードには泣かされたわ。良い話だった。シリーズではこれが一番好きかも。そして、これまで男運が悪すぎて恋愛面では災難続きだったいちばん下の妹がついに素敵な男性に巡り合う4作目へ

 

スキャンダラスな純愛

 ヒロインには隠されていた出生の秘密があり、母親が浮気をして身籠ったため他の兄弟とは父親が違うという。本当の父親が大統領選に出馬するとされている政治家だとわかり、会いに行ってその息子(だけど養子だから血のつながりはない)と出会って恋に落ちる。政治家の一家の家族ドラマも興味深く、ヒーローの元妻が性悪女でヒロインに意地悪してくるのもお約束だけど面白い。最終話にふさわしいドラマティックなストーリーで良かった。何しろシリーズのこれまでの作品で、毎回ろくでもない男に引っかかっていた気の毒なヒロインなので、やっと幸せをつかめて感無量という感じ。1、2作目より、3、4作目のほうが面白かったけど、順番通りに読んだほうが楽しめると思う。

 

 このシリーズは1作目だけ文庫で再販されてるけど、こういう長編は最初から新書でなく文庫で出せばいいのに。まあ今ならMIRA文庫で出したでしょうけど。最近のMIRA文庫はネタがないのか過去の作品の再販ばかりで新作は月1冊くらいになってしまってつまらない。以前は月3冊くらい新作を出してたのに。ハーレクイン社がハーパーコリンズに買収された後、MIRA文庫から人気作家がたくさん出るようになって喜んでいたのもつかの間、今となっては翻訳ロマンスの文庫は刊行が減る一方で残念だわ。

スプーン一杯のロマンス【MIRA文庫版】

スプーン一杯のロマンス【MIRA文庫版】

  • 作者: スーザンマレリー
  • 出版社/メーカー: ハーレクイン
  • 発売日: 2015/12/10
  • メディア: Kindle版

スプーン一杯のロマンス (ハーレクイン・プレゼンツ・スペシャル) プレイボーイに魅せられて (ハーレクイン・プレゼンツスペシャル) 愛をあきらめないで (ハーレクイン・プレゼンツスペシャル) スキャンダラスな純愛 (ハーレクイン・プレゼンツ・スペシャル)