ロマンス小説感想日記

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海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

女王陛下に愛を捧げて マヤ・バンクス

 最近のマグノリアロマンスは、マヤ・バンクス専用レーベルみたいになってるわね。今作は、この作者が昔別名義で書いたヒストリカルの初期作。まだそれほど有名でなかった頃の作品だからか、ものすごく気合い入れて書きました!という感じ。最後のほうはこれでもかというくらいどんでん返しの連続でわざとらしく感じるくらいだけど、少なくとも退屈することはないわね。

 ヒロインはヨーロッパの小国の王女だけど、その国には東洋の思想を持った導師がいるらしく、幼い時からその導師に武道の教えを受けていたらしい。まあ、架空の国だから何でもアリよね。めちゃくちゃ強いカンフー映画の主人公みたいなヒロインだった。英国貴族で摂政皇太子のために諜報員として働いているヒーローは、何者かに家族を皆殺しにされ、かろうじて生き延びて英国にやって来たヒロインを保護し、彼女を捕えようとする追手と戦いながら、祖国に送り届けようとする。2人で行動をともにするうちに愛が芽生えるのはお約束。それぞれ難しい立場なので障害はあるものの、この作者らしく、自覚はなくてもいつの間にかお互いに首ったけになっているストレートなロマンスだった。

 ヒロインが祖国に辿り着いてからも、王にふさわしいかを試す宝捜しのミッションやら、王位をめぐる決闘やら色々盛沢山で、アクションRPGもどきの展開だった。さて、どっちの宝物をとるか!間違ったら game over!みたいな。やっと宝を探し当てた後も次々と敵が待っていて、アイツもコイツも裏切者だったのかよと驚きつつ、敵をなぎ倒してやっつける、愛と冒険のスペクタクルロマン!みたいな話だった。日本人が読むと、東方の導師がへんてこりんな東洋の習慣を実践しているのが少々胡散臭く感じるけど、欧米人が読めば面白いんだろう。最終的に2人はどうやって障害を乗り越えて一緒になるのだろうと思っていたけど、やや都合の良すぎる展開ではあったけど、うまくハッピーエンドに持って行ってきれいに話をまとめていたと思う。M・バンクスは、昔はこういうのを書いてたんだと思うと興味深いわね。最近の作品より面白いんじゃないかな。

女王陛下に愛を捧げて (マグノリアロマンス)

女王陛下に愛を捧げて (マグノリアロマンス)

  • 作者: マヤ・バンクス,Maya Banks,多田桃子
  • 出版社/メーカー: オークラ出版
  • 発売日: 2019/11/09
  • メディア: 文庫
Her Majesty My Love (The Vault Collection) (English Edition)

Her Majesty My Love (The Vault Collection) (English Edition)

  • 作者: Maya Banks
  • 出版社/メーカー: Maya Banks
  • 発売日: 2019/07/15
  • メディア: Kindle

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