ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

秘めた情事が終わるとき コリーン・フーヴァー

 先日読んだ、この作者のデビュー作「そして、きみが教えてくれたこと」が、青春ものの感動作だったので、同じ作者がこんな恐ろしいサスペンスを書いたことにまずビックリ。心理的にジワジワ来るサイコ・スリラーで、結末も凄いインパクトだった。この作者、只者じゃないわ。心理サスペンスが好きな人には断然おすすめの傑作だと思うけど、これはロマンス小説とはちょっと違うと思う。ヒロインとヒーローは一応恋愛関係にあるし、肉体関係も結構激しいけど、ハッピーエンドとは言えない。

 ベストセラー作家の共著者にならないかというオファーを受けた無名作家のヒロイン。その作家は事故に遭って植物人間状態になっているけど、ベストセラーのシリーズの続きを是非とも刊行したい出版社はその事実を伏せ、共著という体裁にして実際にはヒロインに書いてもらうことに。最初は尻込みして断りかけたものの、その作家の夫に熱心に頼まれ、彼に惹かれる気持ちもあって承諾する。作家の家に行って作品の資料を整理するうちに、恐ろしい事実が判明して・・・というストーリー。ヒロインがかなり複雑なキャラクターで、色々と問題を抱えていて暗く、屈折した性格だけど、その清廉とは言えない部分が興味深く、人間の本質を突いていると思う。子供を亡くし、奥さんは植物状態というヒーローも不幸で暗い。そんな厭世的な二人がお互いを求め合うロマンスは淫靡で、寝たきりの奥さんがいる家での情事には背徳感があり、ロマンティックとは言えないけれど、妖しい雰囲気がサスペンスを盛り上げていたと思う。だんだん明らかになっていく作家の秘密が恐ろしくてストーリーに釘付けにされたし、あの驚愕のエンディングは一読の価値があると思う。ネタバレになるので詳しいことは書かないけれど、読んで損はない作品だった。

 ストーリーは文句なく面白かったけど、翻訳の文章がイマイチだったような。特に気になったのが、この訳者の癖なのか、“けど” という接続詞が多用されていたことで、こういう口語体はセリフの中で使うのはわかるけど地の文でやたらと使うのはどうだろう。ヒロインの視点で書かれているので、くだけた感じにしたかったのかもしれないけど、しっくりこなくて読んでいて違和感があった。

秘めた情事が終わるとき (ザ・ミステリ・コレクション)

秘めた情事が終わるとき (ザ・ミステリ・コレクション)

Verity

Verity

  • 作者:Colleen Hoover
  • 出版社/メーカー: Independently published
  • 発売日: 2018/12/10
  • メディア: ペーパーバック

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