新シリーズなので期待して読んでみたけど、ホットなロマンスに取って付けたようなサスペンスという、良くも悪くもいつものローラ・リーだった。この作者は「禁じられた熱情」が面白かったから読み続けているけど、あれを超えるものはなかなかないな。
冒頭に、記憶に関するポエムや「アイルランドの目の伝説」が書かれていたりして、神秘的な雰囲気を盛り立てていたけれど、その割にストーリーに幻想的なところはあまりなく、いつも通りのアルファメールヒーローとちょっと気の強いお嬢様ヒロインのロマンス。ヒーローの祖父が面白いキャラクターだった。
ヒロインは何者かに誘拐されて、傷だらけで救出され1年間の記憶を亡くしているのだけど、いかにもロマサスにありがちな都合の良い記憶喪失で、なぜかヒーローと出会ってからの出来事をすっぽり忘れているという。記憶をなくしていてもヒーローが夢に出てきて、その夢を頼りに彼に助けを求めに行くのだけど、命を狙われてるにしてはあまり切羽詰まった感じがしないし、ヒーローのほうもずっと連絡をくれなかったヒロインに怒ってたりしてあまりロマンティックじゃないのよね。まあロマンティックというよりエロティックが売りの作家だから肉体的に惹かれあう描写は上手いし口説き文句も迫力があってそこは良いと思う。この作者は作品ごとにラブシーンのコンセプトを決めてるみたいで、今作は口でするっていうのがテーマになっていた。そういうところは毎回キッチリしてるのに、サスペンスは適当なのがこの作者らしいわね。最後のほうになって、ヒロインが検事局で働いていたとか、死んだと思ってた親戚が生きてたとか後出しで色んな事実が出てくるけど、そういうのを最初からきちんと書いてくれたら犯人捜しも楽しめるのに。
これはBrute Forceシリーズの第一作だけど、エリート作戦部隊のメンバーがたくさん出てきて前のシリーズの続きのようなストーリーだった。ヒーローはブルート・フォースのメンバーらしいけど、あまり説明もなくてイマイチどんな組織なのかよくわからなかったわ。次作は今作のヒロインの父親が主役みたいだけど、ヒーローにしてはオジサンすぎない??
- 作者:ローラ・リー,Lora Leigh
- 出版社: オークラ出版
- 発売日: 2020/01/09
Collision Point: A Brute Force Novel (English Edition)
- 作者:Lora Leigh
- 出版社: St. Martin's Paperbacks
- 発売日: 2018/02/27