ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

デリリウム17 ローレン・オリヴァー

 ロマンス小説ではありませんが、愛がテーマのディストピア小説。このジャンルは最近ハーパーbooksが時々出してるけど、これは新潮文庫から2014年に刊行されたもの。近頃のYA小説はディストピアものが多いよねえ。アメリカの若者はよほど未来を悲観してるんだろうか。

 近未来のアメリカは、職業も結婚相手も政府によって決められる管理社会。そして愛は恐ろしい病気とみなされていて、18歳を過ぎると強制的に脳の手術を受けさせられ、そういう感情を持たないようにされるらしい。はじめのうちは愛が病気っていう設定が何だかなあと、いまいち話に入り込めなかったし、ストーリーの進行がゆっくりで盛り上がりに欠ける気がしたけど、読み進めるにつれだんだん面白くなっていった。たまにYA小説を読むと主人公の中二っぽさが鼻についてしまうけど、このヒロインはYA小説にしては大人びているほうかな。

 高校を卒業したヒロインは、もうすぐ手術を受けることになっていて、そのことに疑問も持たず、これで病気にかかる心配がなくなり安心できると思っていた。ところが、政府に抵抗して手術を受けていない人たちがいて、その一員であるヒーローと出会い恋に落ち、政府のやり方に疑問を感じるようになる。雰囲気は暗めでいかにもディストピアっぽい荒涼感があり良かったと思う。手術を受けることが青春時代の終わりを意味していて切ない。ハラハラさせられる逃亡劇もあり、終盤はかなり盛り上がった。でもこれ2作目以降は翻訳されてないのよね。

 読み終わって、以前これと似たような話を読んだことを思い出した。アリー・コンディの「カッシアの物語」に、スコット・ウエスターフェルドの「アグリーズ」を足したら、ちょうどこの「デリリウム」みたいなストーリーになるんじゃないかな。基本的なコンセプトは「カッシア~」とほとんど同じだけど、手術を受けさせられるってとこが「アグリーズ」みたい。「アグリーズ」は、16歳になるとみんな整形手術を受けて美男美女ばかりになるという世界の話で、実は政府の策略で顔だけじゃなく脳もいじられてて、手術後はみんな脳天気なパリピ(!)にされてしまうという恐ろしい陰謀にヒロインたちが立ち向かう話で、顔の美しさに関する考察が興味深くて面白かった覚えがある。読んだのがだいぶ前なのでちょっと記憶が曖昧だけど。面白さで言うと、アグリーズ>デリリウム>カッシア、かな。

デリリウム17 (新潮文庫)

デリリウム17 (新潮文庫)

Delirium (Delirium Trilogy)

Delirium (Delirium Trilogy)

  • 作者:Lauren Oliver
  • 出版社/メーカー: HarperCollins
  • 発売日: 2012/02/07
  • メディア: ペーパーバック

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