ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

時間の囚われ人 ジュリー・マッケルウェイン

 FBI捜査官のヒロインが、摂政時代のイギリスにタイムトラベルして、公爵領で起きた連続殺人を捜査するという珍しい設定のミステリー。ロマンス小説のタイムトラベルものだと行先は中世が多くて、リージェンシーというのはあまり読んだことがないから新鮮だった。ヒロインの設定も興味深く、優秀な科学者の両親から生まれた天才児で、14歳で大学に入学し、史上最年少でFBIに入った超エリートだけど、親に愛されずに育った孤独な女性らしい。職業柄か、突然過去にやってきたにしては、そこまでパニクることなく冷静に対処し、その博学さを生かして難しい事件を解決するのがカッコいい。

 事件はかなり凄惨な殺人で、ヒロインは公爵の屋敷で使用人として働きながら捜査する。FBI捜査官らしくプロファイリングで犯人がシリアルキラーだと見抜き、科学捜査もない時代に、昔ながらの方法で犯人を見つけ出そうと奮闘するヒロインが良かった。現代的な思考で分析しつつ旧式の方法で捜査するのが面白い。でも2/3くらい読んだところでヒロインが公爵と一緒に容疑者に聞き込みを行っている時に犯人が誰かわかってしまった。あれは注意深く読んでいたら誰でも気付くと思う。関係者しか知らないはずの事実を犯人が口走って犯行が露呈するのはよくあるパターンなのに、FBI捜査官のヒロインがすぐに気付かなかったのが不思議だわ。ミステリーの重要な要素だから読者が簡単に気付かないように、もう少しわかりにくく書いてほしかった。ストーリー自体は良く出来ているのに惜しい。

 ミステリーが主体のストーリーだけどロマンスも一応あって、ヒーローは公爵の甥で、ハンサムで裕福な侯爵。ヒロインのことを怪しく思いながらも惹かれて最後には求婚までしてるけど、正直そこまで思うほど2人の交流があったと思えなくて唐突な気がした。魅力的な男性で素敵なんだけど、事件の捜査に関してはヒロインの独壇場だったから、ちょっと影が薄かったし。求婚に説得力を持たせるためにも、もう少し2人のロマンスを書いてくれると良かったのに。それでも2人の恋の行方は気になるし、ヒロインがなぜ過去にやってきたのかも謎のままだから今度続きも読んでみよう。