お久しぶりのジュリー・ジェームズ。こういう明るく楽しいラブコメを待っていた!この作者の「嫌いだけど大好きなあなた」は、ヒーローが俳優という設定がちょっと好みじゃなかったけど、デビュー作にしては完成度が高く上手い作家だと思っていた。今作は、FBI捜査官のヒーローと検事補のヒロインのロマンスで、ちょっとしたサスペンスもあり、まさに好みの展開でとても楽しかった。
ヒーローが、事件の目撃者になったヒロインのボディガードになるというストーリーで、二人には、昔一緒に仕事をしたけれど職務上の対立でケンカ別れしてしまった過去がある。ヒーローもカッコ良くて素敵だし、ヒロインも可愛くて良かった。反発しながらも惹かれあう二人のオーソドックスなロマンスだけど、セリフが面白く、キャラクターが生き生きしている。
現代物のロマンスで代表的な作家と言えば、スーザン・E・フィリップスだけど、彼女の作品はエキセントリックなキャラクターが多く、ストーリーにも重いところがあり、若干説教臭さが感じられて癖がある。(それがストーリーに深みを与えていて面白いんだけど。)ジュリー・ジェームズは、S・E・フィリップスを軽くしたような作風で、そこまでの感動はないけど読みやすいと思う。キャラクターも嫌みがなく、主役カップルは反発しあっていても意固地になりすぎることはなく、ストレスフリーで読めて、幅広い読者に受け入れられる作風じゃないかな。ロマンス好きな読者が思わずニヤリとするようなツボを押さえた展開が楽しい。ありがちなストーリーで意外性はないけど、こういう王道のラブコメが最近は意外と少ないので楽しく読めて良かった。
このシリーズは原書が6作目まで出ているから、続きも翻訳されると良いな。定評のある作家なので、よくわからない新人作家より安心して読めると思う。
あなたとめぐり逢う予感 (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション(ロマンス・コレクション))
- 作者:ジュリー ジェームズ
- 発売日: 2020/06/22
- メディア: 文庫
Something About You (An FBI/US Attorney Novel)
- 作者:James, Julie
- 発売日: 2010/03/02
- メディア: マスマーケット