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カルニヴィア 1 :禁忌 ジョナサン・ホルト

 ミステリーの感想も読みたいというご意見を頂きました。ミステリーも好きなので読んではいるのですが、ネタバレしないよう気を遣わないといけないので感想を書きづらく、あまり記事にしていなかったんですよね。このブログの読者は女性が多いと勝手に思っているので、ロマンス小説以外でも自分が読んで女性向けだと思ったものは、一応取り上げてはいるのですが。最近読んだミステリーは、ジョナサン・ホルトとジェイムズ・パタースンかな。

 

 ジョナサン・ホルトは、たくさんのペンネームを使い分けて色んな作品を書いていて、別名義のトニー・ストロングの「美しき囮」とJ・P・ディレイニーの「冷たい家」を読んで面白かったので、「カルニヴィア」も読んでみようかなと。この人は本当に器用な作家で、「冷たい家」はゴーン・ガール風、「カルニヴィア」はダン・ブラウンスティーグ・ラーソン風とか言われているけど、そうやって人気作の流れを汲みながら、幅広く多様な作品を書けるところが凄いと思う。同じ作家の別名だということを知らなければ、「カルニヴィア」と「冷たい家」を書いたのが同一人物だなんて絶対わからないよ。

 「カルニヴィア」は、ミレニアムのリズベットほど強烈なキャラクターではないけど、イタリア人とアメリカ人の2人の女性が主役で、その国民性と個性の対比が面白い。ストーリーはダン・ブラウンを少し柔らかく(?)したような感じで、そこまでの緻密さはないけど読みやすいし、キャラクターも魅力的だった。(D・ブラウンは原稿を推敲しまくるからものすごく遅筆だと何かで読んだ。だからストーリーは練り上げられていて素晴らしいけど、キャラクターの個性とか魅力がちょっと弱い気がする。)

 イタリア人のヒロインは軍の憲兵隊の刑事で、上司とともに殺人事件の捜査にあたり、鋭い視点と行動力で謎を解いていくのがカッコいい。上司の男性も、腐敗の多いイタリアで正義を貫く男気のあるキャラクターで、この二人が一緒に捜査をするうちに惹かれあっていく。素敵なロマンスになりそうだったんだけどねえ・・上司のほうが妻子持ちじゃなければ・・。結局昼メロちっくな不倫関係に陥って、せめて男性がヒロインとの愛に突っ走ってくれたらまだ面白かったんだけど、やっぱり妻子が大事だから、君との関係は無かったことに・・・ってそりゃないよ。何でこんな安っぽい不倫の恋を・・。イタリア人は情熱的で、みんな不倫するんだよってことなのか??まあロマンスがメインの話じゃないからいいんだけどね。全体的にはとても面白かった。大掛かりな陰謀に巻き込まれた2人の女性が命を狙われながらも奮闘して謎を暴いていく手に汗握る展開で、最後まで勢いのあるストーリーだった。

 

 ジェイムズ・パタースンはビル・クリントンとの共著を出して話題になってましたが、(クリントンにサスペンス小説なんて書けるわけないから、どうせほとんどパタースンが書いたんだろうけど。)私が読んだのは、だいぶ前の「殺意がふたりを分かつまで」という作品で、これはイマイチだった。サイコパスのヒロインの魅力に負けて、殺人犯だと知りつつ関係を持ってしまい殺されそうになる捜査官のヒーローの話。←この一文で要約できちゃう捻りのないストーリーで、キャラクターにも魅力を感じられなかった。ハワード・ローワンという別の作家との共著だから、その作家が下手なのかなあ。

 ↓これ話題作には違いないだろうけど面白いのかなあ?

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