ラスベガスのホテルが舞台のユーモア・ミステリー。人気のあるシリーズのようで原書は11作目まで刊行されている。この手のミステリーにしてはロマンス要素が多めで、この作品はRITA賞のNovel with Strong Romantic Elementsにノミネートされている。結構笑えて面白かったけど、下ネタ系のお笑いなのであまり上品とは言えないかも。
ヒロインはラスベガスの巨大ホテルで、日々起こる色んなトラブルを処理している。自分のオフィスがあり専属の秘書もいて、ホテル内でも高い地位の役職らしい。ブランドものの服を身に着けフェラーリを乗り回している。普通じゃないお客が次々にとんでもない問題を起こすのが笑える。ある日従業員が遊覧ヘリから落ちて死亡する事件が起き調査に乗り出す。
はじめのうちは、ヒロインの恋の相手は新入りの警備員だと思っていたけど、結局彼は当て馬で、ホテルでショーをしているものまね歌手が本命だった。周りはイケメンだらけで、しかもなぜかモテモテなヒロインだけど、ずっと親友だった彼と恋人になるべきかどうか悩んでいてなかなか一歩を踏み出せないでいる。親友同士だったとは言え、彼のほうはずっと恋人になりたいと思っていて、カップルになるべくしてなった2人だけど、彼の情熱的な告白がロマンティックだった。
ラスベガスが舞台だから何でもありなのかもしれないけど、ポルノ業界の人々が一堂に会するコンベンションとか、スワッピング愛好家たちのイベントとか、ちょっと下ネタに走りすぎてる気がした。最初は笑えてもだんだん辟易してきちゃう。これがデビュー作らしいから読者を笑わせようという意気込みは感じられたけど、ちょっとやりすぎかも・・。次作に期待というところかな。
全体的なストーリーは面白く、ヒロインの母親との確執や、出生の秘密はちょっとした人間ドラマだったし、殺人事件に、ロマンスに、盛りだくさんな内容で飽きさせない。ユーモア系では面白いほうじゃないかな。
- 作者:デボラ・クーンツ
- 発売日: 2013/10/30
- メディア: 文庫