前作「夜の彼方でこの愛を」は、ヒロインのキャラクターがどうにも好きになれなくてイマイチだったけど、ヒロインが違うタイプだったら面白いかもしれないと思い、2作目を読んでみた。前作よりは良かったけど、やっぱりこの作者の作風はあまり好みじゃないということがわかった。
これは人付き合いが苦手な変わり者のヒーローのシリーズらしく、ちょっとズレてるヒーローと、いちいち茶々を入れるアシスタントの掛け合いが面白かった・・と言いたいところだけど、こういうシニカルなユーモアは翻訳だとちょっと伝わりにくくて、セリフが回りくどく感じることがあった。主人公の2人とも、かなり重い過去を背負っているにもかかわらず、全体的に軽めのストーリー。ヒロインは偽名で逃亡中の身にしてはそこまでの切迫感はなく、一応ロマサスだけどサスペンスよりロマンスに比重が置かれている。後ろ暗い過去のある興味深いキャラクターなのだから、もっと掘り下げて書いてくれたら感情移入できたと思うんだけど、あまり共感できないまま終わってしまった。この作者の書くヒロインって、なんだか可愛げがないのよね。
自分の好みとは少し違ったけど、割と人気のある作家らしいから、こういう軽妙な作風が好きな人が多いということかな。著作も多く、ハーレクインからゲイのロマンスまで色々書いていて、さらには別名で本格サスぺンスも出す予定みたい。2冊読んでこの作者はサスペンスにはあまり向いてない気がしたんだけど、そうでもないらしい。
- 作者:ヘレンケイ・ダイモン
- 発売日: 2020/04/01
- メディア: Kindle版