ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

公爵と忘れられた美女 サラ・マクリーン

 前作から3年以上たって続きが出るとは!もう読めないかと諦めていたわ。サラ・マクリーンは本国では結構な人気作家だから版権料が高そうだけど、前作がそれほど売れなくて2作目を出すのが厳しいのかなあ・・と思っていた。読者としては安い無名の作家よりも、本の値段が多少高くなっても人気作家を出してくれるほうが嬉しいんだけど・・。

 久しぶりにS・マクリーンを読んだけどやっぱり面白い。この作者はキャラクターの書き方が上手いよねぇ。ヒーローの登場場面もすごい迫力。キルトをまとった体の大きなスコットランド人のヒーローが壁に剣を投げているところへ事務弁護士がやってきて恐ろしさに震え上がる。すごいヒーローが出てきたぞ!と読んでてワクワクさせられ掴みはバッチリ。キャラクターの存在感という点ではこの作者は文句なく上手いと思う。

 ヒロインは両親を亡くした孤児で、公爵が後見人だから生活には不自由していないけど愛に飢えていて、画家の恋人の甘い言葉に騙されて裸体画のモデルになってしまう。その絵が公開されることになって大変なスキャンダルになり、彼女を救うためにヒーローがやってくるというなかなか斬新なストーリー。作者のあとがきによれば、このシリーズは現代の有名人のゴシップに着想を得て書いたそうでなるほどね。絶世の美女だけど孤独で、悪い男に破滅させられてしまった気の毒なヒロインだけど、自分で事態を何とかしようと行動力を発揮してヒーローを振り回すところはいつものS・マクリーンという感じ。思うにこの作者が書くヒロインは、奇抜な行動で回りを振り回すタイプが多くて、欧米人女性には受けそうだけど、日本人読者は少々好みが分かれるかもしれないとは思う。このヒロインも、舞踏会に犬の飾りだらけのドレスを着ていったりするのは突飛すぎてちょっと笑えないかも。個性的なヒロインで印象的なのは確かだけど。

 でもS・マクリーンはヒロインではなくヒーローの魅力で読ませる作品が多いように思う。この大男のヒーローも、スコットランドの野蛮人と呼ばれていて荒っぽいようで、優しく繊細なところがあって素敵だった。昔女性に傷つけられた過去があってそのせいで自分を卑下していたりするところが母性本能をくすぐるのよ。窮地に陥ったヒロインを救いに来たヒーローだけど、ヒロインは意外と逞しくむしろ彼女のお陰で心の傷が癒え二人とも幸せになるという結末で、無骨者なのにガラスのハートを持つヒーローが良かった。ヒロインを他の男性と結婚させようとするけれど、自分が彼女を好きになってしまい嫉妬するヒーローというのはよくあるパターンだけど、畳み掛けるようなストーリーと生き生きしたキャラクターでぐいぐい読ませるところが流石。最後まで勢いが衰えることなく楽しい作品だった。3作目も是非出してほしいなあ。

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