ジョハンセンの初期作。関連作なので2冊まとめて。
「きらめく~」のヒロインは、フィギュアスケートのオリンピック選手。作中、“東ドイツの選手が・・”という記述があって時代を感じたわ。両親を早くに亡くしたヒロインの後見人がヒーローでかなりの年の差。彼女が子供の頃から好きだったそうでほとんど犯罪みたいなロマンスだけど、大人になるまでひたすら我慢して待ってたから一応セーフ。超一流のスケート選手でオリンピックで金メダルを獲り富と名声を手にしながらも、不幸な子供時代のせいで心を閉ざしているヒーローにとって、ヒロインが唯一の心のよりどころで、彼女が成長するのをずっと見守っていた。とは言え、いつか彼女を自分のものにしようと虎視眈々と狙っているような見守り方で、かなり肉食系のヒーロー。ストーリーは粗削りでフィギュアに詳しい人が読んだら色々とツッコミを入れたくなるんじゃないかと思うけど、キャラクターが生き生きと書かれていて、そういうところは初期作でも上手い。若くて無垢なヒロインに迫る年上のヒーローがとにかくアグレッシブで熱いロマンスだった。スケート関係のストーリーはちょっとご都合主義で話が出来過ぎだと思ったけど、躍動感溢れるキャラクターがストーリーの粗さを補っていて最後まで読ませる勢いがあった。
「澄んだブルー~」は、↑でヒロインのコーチ役だった男性がヒーロー。スケートは辞めてクルーズ船で航海中に、カリブ海の島でヒロインと出会う。ヒロインは一応アメリカ人だけど複雑な生い立ちで、島でダンサーをしていた母親は彼女が子供の頃にどこかへ行ってしまい、当時母親の恋人だった密輸業者の男性が面倒を見てくれたけど、出生証明書を母親が持って行ってしまったから学校にも行けず、親代わりの男性の密輸の仕事を手伝って色んな国に出入りするにもパスポートがないからいつも密入国という凄い人生。それなのに百科事典を読んで自学自習で教養を身に着け、ピュアな心を持ち身持ちも堅く、人情に篤くて正義感溢れる女性だというから、いくら何でも出来過ぎだろうと突っ込みたくなるけど、カテゴリー・ロマンスにリアリティを求めるのはナンセンスか。かなり荒唐無稽でありえないストーリーだけど、南国での情熱的なロマンスと冒険活劇が楽しい作品だった。
どちらも80年代の作品にしてはラブシーンが意外と濃厚で、ヒーローがかなり激しかった。この作者の初期のロマンスはキャラクター造詣がどれも似たような感じで、清純なヒロインと年上の世慣れたヒーローの話ばかりだから、少々ワンパターンではあるけど、カテゴリー・ロマンスにしてはかなり頑張っていて面白いと思う。
- 作者:アイリス・ジョハンセン
- 発売日: 2013/08/21
- メディア: 文庫
澄んだブルーに魅せられて (二見文庫 ザ・ミステリ・コレクション)
- 作者:アイリス・ジョハンセン
- 発売日: 2012/09/21
- メディア: 文庫