ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

ケイトが恐れるすべて ピーター・スワンソン

 「このミステリーがすごい」のランキングで上位に入っている作品で、読んでる人も多そうなので今更感想を書くまでもないと思うけど、男性作家のミステリーにしてはキャラクター描写が割と細やかで、女性の読者に受けそうな作品だと思うのでご紹介。

 この作者の前作「そしてミランダを殺す」を以前読んでとても面白かったので、「ケイトが恐れる~」も読んでみた。「ミランダ~」は、宣伝文句のとおり衝撃の展開に驚かされるかなり巧妙なミステリーだったけれど、今作はヒロインの恐怖を描いたサスペンスで、どんでん返しもなく、早い段階で犯人が明らかになるため謎解きもあまりない。どちらが面白いかと言えば「ミランダ~」だと思う。それでも自分はこの作者の書くキャラクターが割と好きなので今作も結構楽しめた。

 登場人物は、どこか風変りで少しまともじゃない人ばかり。それなのに何故か魅力がある。男性キャラクターが、ちょっとヘタレだけど繊細さが感じられるタイプなのが良い。前作も今作も、本当に極悪な殺人犯と、ちょっと良い(?)殺人犯が出てきて、ちょっと良い殺人犯のほうについ肩入れしてしまうようなストーリーになっているところが面白い。「ミランダ~」のヒロインなんてサイコパスの殺人鬼なのにどこか憎めないところがある不思議なキャラクターだったし、ミステリーの展開の上手さが高く評価されている作家だけど、キャラクターの描写もなかなかだと思う。

 あとがきによれば、作者は「ケイト~」は元々ラブコメにしようと思っていたけれど、この設定は恋愛よりも殺人に向いていると閃いてサスペンスにしたらしい。恋愛要素に目を向けて見ると、ヒロインのケイトが過去のボーイフレンドとの壮絶な体験を乗り越えて新しい恋人との関係に踏み出せたのは素敵なことで、恋人の最後の控え目な告白もちょっとロマンティックだったし、従兄のコービンの孤独や、愛する女性と関係を築きたいのにそれが叶わない絶望はとても切なくて、そういうロマンスの部分を膨らませて書いても結構面白かったんじゃないかという気がする。そんな風に思うのは自分がロマンス小説をよく読んでいるからだろうけど。

 ネタバレになるといけないので詳しい内容は控えるけど、人気のある作家だし読んで損はないと思う。未読の方はまず「ミランダ~」を読んでみて、気に入ったら次に「ケイト~」を読むのが良いかと。

 

無断転載禁止 copyright © 2018 BOOKWORM