ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

眩暈 キャサリン・コールター

 このFBIシリーズも2003年の「迷路」からずっと刊行が続いてて凄いなあ。その間に読者も世代交代してそう。自分は途中で放置してもう何年も読んでなかったけど、久しぶりに続きを読んでみた。このシリーズはオカルト的な超常現象ネタがよく出てくるけど、今作はそういうのがあまりなくて読みやすかった。

 2つの事件を並行して書いているのはいつもどおり。アメリカの犯罪捜査もののテレビシリーズは、たいていこういう感じで事件が同時進行する番組が多い。複数の事件を扱うと場面転換が多くなってテンポが良くなるのでよく使われる手法だけど、小説も同じで、どちらの事件も面白くてサクサク読めた。おなじみのキャラクターが活躍して事件を解決するわかりやすい勧善懲悪もので安定感は抜群だけど、サスペンスの出来はそこまで凄いわけではなく目新しいところはあまりないから、キャラクターに愛着があるファンのための作品かなと思う。毎回サビッチとシャーロックの幸せそうなエピソードが読めて、シリーズのすべての作品が「迷路」のエピローグみたいなものだし。それは良いのだけど、新キャラのロマンスのほうは付け足し程度でちょっと寂しい。男と女がいるからとりあえずカップルにしておこうという感じのやっつけ仕事的なロマンスがイマイチ。ヒロインは薬を盛られて拉致され、コンクリートに縛り付けて湖に沈められたのに自力で脱出したというすごいガッツの持ち主で魅力的な女性なのに、サビッチとシャーロックというレギュラーの出番が多いぶん、ヒロインのキャラクターが薄くなっているのがもったいない。このシリーズは面白いんだけど、主要なキャラクターが多くて事件も2本立てだから、主人公の心理面をあまり掘り下げることはせず、感傷的な要素は抑えられているので、そこまで感情移入することがない気がする。シリーズ初期の「旅路」と「迷路」はヒロインの心情が読み手に迫ってきて良かったんだけどなあ。その2冊はお気に入りの作品なんだけど、それ以降は一定のクオリティは保っていて悪くはないけど、そこまで深いものがない気がする。シリーズを追いきれていないので何とも言えないけど・・。

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