ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

暗い暗い森の中で ルース・ウェア

 イギリスのミステリー作家のデビュー作。この作者は本国では最近かなり人気があって売れているようなので読んでみた。ミステリーとしては先が読める展開で、結末もだいたい想定どおりだったし、特別すごいところはないんだけど、不思議と先が気になってどんどんページをめくってしまう作品だった。

 人里離れた森の奥の別荘で行われたヘン・パーティー(結婚前の女性の独身最後のパーティーをイギリスではそう呼ぶらしい。)で、殺人事件が起きるという設定で、ヒロインは10年近く音沙汰のなかった学校時代の友人から招待され、泊りがけでパーティに参加するけれど、その友人との関係は複雑で、当時、可愛くてみんなの人気者だった友人は、吃音があり引っ込み思案だったヒロインにとってボスのような存在で、対等な友人同士ではなく歪んだ関係だった。ヒロインは大人になった今でも少女の頃の劣等感を抱えていて、大人向けのミステリーなんだけど、スクール・カーストとかフレネミーとかがテーマのヤングアダルト小説みたいな雰囲気があった。ヘン・パーティーの出し物でコックリさんみたな降霊術をやっているのも何だか子供っぽい気がしたし。

 デビュー作だからか全体的に粗削りな感じはするけれど割と面白かった。ヒロインが惨めすぎてちょっとイタいけど、若さゆえの残酷さとか、失恋の痛みとか、青春時代の闇が垣間見られるストーリーで、ミステリーは月並みながら、そこそこ読ませる作品だったと思う。

暗い暗い森の中で (ハヤカワ文庫NV)

暗い暗い森の中で (ハヤカワ文庫NV)

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