ロマンス小説感想日記

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海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

魔女の水浴 ポーラ・ホーキンズ

 ポーラ・ホーキンズの2作目をやっと読んだ。前作「ガール・オン・ザ・トレイン」が面白かったので、次作も読みたいと思ってはいたのだけれど、出版元がまさかのアカデミー出版で、今更超訳もなあ・・と思い読むのを先延ばしにしていたのよね。アカデミー出版はもう終わった出版社だと思っていたのに、また天馬龍行の訳を読むことになろうとは。

 この作品、かなり酷評されてるけど、そこまで悪くはなかったと思う。ミステリーとしてはそこそこ面白かった。海外では評価されていて、Goodreadsのchoice awardも受賞してるし。確かに比べると前作のほうが良かったとは思う。前作のアル中ヒロインは惨めすぎるけど嫌いじゃなかったし、共感できる部分もあった。今作は登場人物が多く、章ごとに違う人物の視点で書かれているので、特定の人物に感情移入するのが難しい。親友を亡くし彼女の秘密を守ろうとする少女の葛藤とか、姉のことをずっと恨んでいたのに亡くなってから誤解だと気づいた妹の苦しみとか、読みどころはあるのにそれが深く掘り下げられてなくてあまり共感できないのがもったいない。ストーリーに腑に落ちないところもあり、2作目なのにデビュー作より完成度が低い気がするし。最初のうちは魔女やら霊能力者やら出てきて話が見え難かったし、終わりも唐突すぎた。

 これは前作を超える作品ではないというのは確かだけど、天馬龍行の訳だったのがさらに良くなかったように思う。超訳シドニー・シェルダンのような波乱万丈系の派手なストーリーなら良いかもしれないけど、ポーラ・ホーキンズのような地味目のミステリーには合わないと思う。こういうのはむしろ一言一句原文に忠実に訳すほうが良い気がする。読み難いのは翻訳のせいかもしれないと思い、どれくらい原文を改変してるんだろうとすごく気になってしまった。次作は別の出版社が出してくれることを期待しよう。

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