ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

イタリアの花嫁 ジュリア・ジャスティス

 J・ジャスティスの長編。この作者のハーレクイン・ヒストリカルは結構読んでいて、面白い作品もたくさんあったけど、これはいまひとつだった。

 ヒロインの母親はイギリスの子爵令嬢だったけれど、イタリア人の音楽家と恋に落ちて結婚し、家族に縁を切られてしまった。両親が亡くなり頼る人がいなくなったヒロインは母の親戚の家に身を寄せたけれど、冷たくされ使用人のように扱われていた。その家に海外で任務についていた軍人のまたいとこが帰ってきて、結婚できるように社交界にデビューさせてくれるけれど、少女の頃から彼に憧れていたヒロインは彼が自分と結婚してくれないかと期待している。ところが夜会で放蕩者だという噂のヒーローと出会い、親しくなるにつれて彼のことが好きになっていく。2人の男性の間でヒロインの気持ちが揺れて面白くなりそうなものだけど、この三角関係がちっとも盛り上がらなくてつまらない。情熱的なイタリア人の血が流れているヒロインにしては、ヒーローと付き合うことでまたいとこが嫉妬してくれるんじゃないかと姑息なことを考えているし、ヒーローも、ヒロインのことが好きなのに何だか煮え切らなくて友達づきあいに甘んじているし、またいとこはヒロインが勝手に憧れているだけで彼女のことは眼中にないし、この微妙すぎる三角関係は何なのか。

 この作品は普通のハーレクイン・ヒストリカルよりも頁数の多い長編で、内容が盛り沢山なのは良いけど少々まとまりに欠けているような。後半は話の流れが変わり、ヒロインはヒーローと結婚したら持参金がもらえないことがわかり、貧乏男爵のヒーローには地所を立て直すためにお金持ちの花嫁が必要だから身を引くことに。そして、またいとこに幻滅し、家を出て家庭教師になり、イタリアに行くイギリス人一家に同行する。ヒロインの驚きの生い立ちが明らかになったり、彼女を諦めきれないヒーローがイタリアまで追いかけてきたりして、このあたりからストーリーが盛り上がってくる。最初は使用人のように働かされていたヒロインが、最後にはお姫様のような身分になるシンデレラストーリーだけど、ヒロインが強気な性格だからあまり薄幸な感じがしなくてインパクトが弱いかも。そこそこ面白かったけど、この作者の作品の中ではイマイチだと思う。

イタリアの花嫁 (mirabooks)

イタリアの花嫁 (mirabooks)

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