TAC出版という聞いたことのないマイナーな出版社が出しているけど、原書はエドガー賞の新人賞にもノミネートされ(受賞はしてない)ベストセラーになった話題作らしいので読んでみた。しかし、これは・・全然面白くないぞ。途中で挫折しそうになりながらも何とか最後まで読んだのでとりあえず感想を。
ヒロインは高校時代にかなり恐ろしい目に遭った気の毒な女性で、普通なら同情するところだけど、嫌な女の見本みたいなキャラクターでどうにも好きになれず、あまり可哀想だと思えない。ゴーン・ガールみたいな悪女スリラーだったら良いのだけど、そういうのとも違う。女性雑誌の編集者で上昇志向がとても強く、階級意識丸出しで見栄っ張りという、どうしてこんな女性を主人公にしたのか首をかしげるようなキャラクターで、ノンフィクションならともかく、ミステリーのヒロインとして作者は本当にこんなキャラがウケると思ったんだろうか??もしこれがコスモポリタンの編集者だったという作者自身を投影したキャラクターだとしたら、鼻持ちならない人に違いないわ。
ヒロインは中流家庭の出身だけど上流階級のフィアンセをゲットして、彼に釣り合う女性に見られるようにかなり無理して自分を偽っている。そんな彼女が高校時代の事件についてテレビのドキュメンタリーで告白することで自分に向き合い、結局婚約者とも別れる決心をするけれど、それまでのヒロインの言動への嫌悪感が強くて、立派な決断だと褒める気も起きない。サスペンスとしても、事件自体は衝撃的だけど、書き方がなってなくて面白くないし、全く良いところのない作品だった。この作者は小説を書くよりも、コスモポリタンでファッションの記事とかを書いてるほうがお似合いだと思うわ。
ちっとも面白くないのにアマゾンでたくさんレビューがついてて不思議に思ったけど、VINEとかいうプログラムで無料で商品をばら撒いてレビューを書いてもらってるっぽい。私は安い古本を購入したけど、これは買う価値なかったわ。・・・残念。
(追記)これ映画化されたのか! まあ、小説よりも映画のほうが良いかもしれないな。「私は世界一幸運よ」のタイトルでNetflixで配信中です。
幸運なんてわたしはいらない (BLOOM COLLECTION)
- 作者:ジェシカ・ノール,Jessica Knoll
- 発売日: 2018/04/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)