P・スワンソンの2014年刊行のデビュー作。「~ミランダを殺す」と「ケイトが恐れる~」が面白かったので、これも読んでみた。
デビュー作だから多少粗削りなところはあるけど面白かった。この作者ってサイコパスの悪女に翻弄される男性の話がよっぽど好きなのね。魔性の女にいたぶられたい願望でもあるのかしら。主人公の男性が大学時代のガールフレンドと再会して犯罪に巻き込まれていくという「ミランダを殺す」にちょっと似たストーリー。この主人公も結構なヘタレで、昔のガールフレンドがヤバい犯罪者だとわかっているのに、フラフラと彼女の言いなりになって危険な状況に踏み込んでいくので危なっかしくてハラハラさせられる。でも、すごく好きだった初恋の彼女が自分を陥れるはずはないと信じたい気持ちはわかるので、この優柔不断なダメ男につい感情移入してしまう。ガールフレンドの自殺にショックを受け、真相を探るために彼女の故郷のフロリダまで一人ではるばる旅する大学時代のエピソードは青春ものみたいな雰囲気で、主人公の少年ぽい不安定さをうまく書いていたと思う。やっぱりこの作者はヘタレ男を書かせたらピカいちだわ。
本編とは関係ないけど、この訳者のあとがき面白いな。オジサントーク全開って感じ。この人、いつもこんなふざけたあとがき書いてるのかな??
- 作者:ピーター・スワンソン
- 発売日: 2014/10/20
- メディア: 文庫