ロマンス小説感想日記

ロマンス&ミステリー小説感想日記

海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

第10客室の女 ルース・ウェア

 アカデミー出版の「魔女の水浴」に続く英国ミステリー第2弾。天馬龍行も懲りないなあ。翻訳は相変わらずイマイチだけど内容は面白かった。この作者のデビュー作「暗い暗い森の中で」よりもずっと良かったと思う。「ガール・オン・ザ・トレイン」や「ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ」と同じ系統の、"信頼できない語り手"のミステリー。またこのパターンかと思わないでもないけど、これはこれで面白かった。アル中なのか不明だけど相当な酒飲みで、抗うつ剤を服用中のヒロインが、豪華客船でのクルーズ中に殺人を目撃するというプロットは「ウーマン・イン・ザ・ウィンドウ」にそっくりだけど、"ウーマン~"が人間ドラマも重視した内容だったのに対し、"第10客室の女"はサスペンスがメインのストーリーで、こっちのほうが怖かった。クルーズ船という閉鎖された空間に殺人者が一緒にいて、誰のことも信用できないヒロインの恐怖が読み手に迫ってくる。

 面白かったけど、細かいところがちょっと雑な感じはする。最後のどんでん返しも、違う書き方にしたら、もっと衝撃的だったんじゃないかと思うし。超訳は読みやすいのかもしれないけど文章がチープな感じがして、映画で言ったらハリウッド大作ではなくB級映画のような雰囲気になってしまっているのが残念だわ。結果として、前述の同系統の2作品にはあと一歩及ばずというところかな。

 それでも、緊張感のあるストーリーで一気に読める、そこそこ良く出来たサイコスリラーなので読んで損はないと思う。もしアカデミー出版ではなく、この作者の前作を出した早川書房が文庫で出していたらもっと売れたんじゃないかな。 

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