ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

公爵の建築家は逃げ出した令嬢 シリア・ジェイムズ

 逃げ出した令嬢シリーズ最終作。アメリカ人の富豪令嬢3姉妹のロマンスを描いたシリーズで、これは一番下の妹のお話。建築事務所で設計の仕事をしていて、建築家としてのキャリアを追求するために結婚はしないと決心しているらしく、3姉妹の中でも一番進歩的な女性っぽい。元々このシリーズはヴィクトリア朝末期の話なので、摂政時代のロマンスよりも進んでいる面があるけれど、このヒロインに至っては仕事か結婚かで悩んでいたり、性的な面でも割と進歩的で現代女性に近い気がする。城の改築を依頼した公爵と出会ってすぐに惹かれあい、お酒を飲みすぎてイチャつき、ベッドにもつれ込みそうになって翌朝後悔するとか、やたらと展開が早くて現代もののロマンスみたい。

 このシリーズはヒーローも、伯爵→侯爵→公爵と順を追ってグレードアップしているし、きちんとテンプレに沿って書きましたという印象で、美人で教養もあるヒロインとハンサムな英国貴族との素敵なロマンスに、女性の教育の重要性を啓蒙するエピソードなんかも入れてソツなくまとめている。要所を押さえてきっちり書いているけど、読み始めてすぐにだいたいの展開の予想がついてしまい、ほぼ思ったとおりだったので、もう少し意外性があると良かったかも。ロマンス小説だから別にどんでん返しを期待するわけではないけど、全てが型通りに進行し、ここまで簡単に先が読めてしまうとちょっと物足りなさを感じる。ヒストリカル・ロマンスって基本的にはどれも似たような話だから、そこから一歩抜きん出た何かがないと人気作家になれないと思うのよね。特に悪いところはなく楽しく読める作品で、普通に楽しむには十分なレベルの良作だけど、後々まで印象に残るような傑作ではないと思う。

 ラズベリーブックスは新作もkindle unlimitedに入れてくれるので有難い。

 

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