ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

その唇にふれるとき アイリス・ジョハンセン

 A・ジョハンセンの初期のロマンス。カリブ海の島国で牢獄に囚われている革命家のヒーローを救出するために、アメリカ人のヒロインが刑務所に潜入するというあらすじを見て、ロマンス小説にしては骨太な内容だなと思ったけど、読んでみるとコテコテのロマンスで硬派なところはあまりなかった。

 そもそもヒロインが関わっている救出作戦にかなり無理がありツッコミどころ満載。監禁されているヒーローの独房に女性を放り込んで、彼がその女性と関係を持てば彼女のことが大切になるだろうから、その女性を傷めつければ彼から情報を引き出せると看守が考えて、美人なヒロインをヒーローに差し出したところ、お互いに惹かれあってロマンスが芽生えました(!?)というストーリーなんだけど、これって獄中で愛を交わすという状況に持っていくために無理やり捻り出したようなありえない設定じゃない?ヒロインにスケスケの服を着せてヒーローと一緒に閉じ込めたり一緒にシャワーを浴びさせたりして、さあ、欲求不満を解消するんだ!と強要し、彼が必死で欲望に耐えるという・・すごい刑務所。まあ、ストーリーの目玉はこの監禁状態での濃密なラブロマンスだと思うので、それ以外の設定は適当でもいいってことか。あまり深く考えなければ特異な状況での妖しい雰囲気のロマンスがなかなか面白いと思うけど、この原書が刊行されたのが1990年で翻訳が出たのが2014年。こんな古いのをわざわざ翻訳して出す価値があったのかなという気もちょっとする。出版社の人もそう思ったのか、この作品を最後に二見書房はアイリス・ジョハンセンを出すのをやめたみたい。

 そういうわけで、真面目に読むと色々ひっかかるところがあるけれど、短くてすぐに読めるし、珍しいシチュエーションの濃密なロマンスが楽しめる一作です。

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