ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

イヴリン嬢は七回殺される スチュアート・タートン

 主人公がタイムループと人格転移を繰り返しながら殺人事件の謎を解くというSFミステリー。思ったほど難解ではなく、登場人物さえ把握しておけば普通に読めるけど、翻訳がイマイチで、直訳っぽい不自然な日本語の文章が多く読みにくかった。

 主人公の男性が次々に別の人物に憑依して同じ日を何度も繰り返すというのがRPGっぽくて斬新で、ミステリーとしては面白いけど、登場人物にあまり魅力が感じられなかった。終盤で主人公がなぜこの館へ来たのか明らかになったけれど、必要最低限の説明で済まされていて、彼の状況や心境をもっと膨らませて書いたらより共感できるキャラクターになったんじゃないかと思う。善い人だと思うけど、館に来た事情を考えると、あの人のことをそんなに簡単に許せるものかなあ。もっと葛藤してもいいんじゃないかと思った。ストーリーの構成に力が入っているぶん、キャラクターが描き込み不足という印象。意外と深いテーマがあるのに、終盤は駆け足になってしまって説得力が足りずもったいない。それでもデビュー作でこれほど入り組んだミステリーを書いたのは凄いと思う。

 追記

 少し前にデイヴィッド・レヴィサンの「エヴリデイ」というYA小説を読んだけど、それも主人公が毎日違う人物に憑依するというストーリーで、ジャンルもテーマも全く違うけど、毎回別の宿主の体で目覚めるというアイディアは同じだった。「エヴリデイ」では、主人公に性別がなく、憑依するのが男性の時もあれば女性の時もあるというのが非常に興味深かったのだけど、「イヴリン嬢~」では男性である主人公の宿主になるのは全員男性だったから、女性にも憑依したら面白かったかもとちょっと思った。まあ、そうするとさらに話が複雑になってしまうけど・・。

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