ロマンス小説感想日記

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海外ロマンス小説、翻訳ミステリーのブックレビュー

蠱惑の堕天使 J・R・ウォード

 これは面白い!この作者のヴァンパイアものよりも明るくてややコメディ調のストーリーで、天使が人間のカップルのキューピッド役になって2人の恋が実るように手助けするのを悪魔が邪魔して・・というアーバン・ファンタジー。800ページ超え(!)の大作だけど頁数分ぎっしり中身が詰まっていて本当に面白かった。この作者はヴァンパイアのシリーズが人気だから、あの世界観が好きな人だとこちらはちょっと軽く感じるかもしれないけれど、逆にパラノーマルにあまり馴染みのない人には読みやすいんじゃないかな。これもファンタジーで天使やら悪魔やら出てくるけど、基本的には人間のカップルのロマンスなので。詳しい感想を書いてこの面白さを伝えたいけど、これは内容的に何を書いてもネタバレになっちゃうから書きづらいな・・。未読の方は、先に他人のレビューを読むのは避けたほうがいいと思います。以下ネタバレにご注意!

 

 こう書くのもネタバレなんだけど、本作の内容を一言で表すとしたら、J・R・ウォード流のファンタジー版プリティー・ウーマン(もちろんR指定!)かな。作中、ヒーローも自分をリチャード・ギアになぞらえていたし。つらい状況にあるヒロインを白馬に乗った王子様のようなヒーローが救ってくれるシンデレラストーリーには女性の胸をときめかせるものがあるわよね。そんな普遍的なシンデレラストーリーを捻りに捻って独自路線のファンタジーに仕上げたJ・R・ウォードの手腕は凄いとしか言いようがない。

 この作者はバッド・ボーイを魅力的に描くのが抜群に上手くて、建築会社社長の影のあるヒーローは素敵すぎてリチャード・ギアなんて目じゃないと思った。ロマンスのヒーローに多いタイプの愛を知らない孤独な男性だけど、それだけではなく驚くべき秘密があって・・・いやもう面白すぎてこれは読むしかない!そして最初にちょっとしたひっかけがあるので、ヒロインは・・・と書くこと自体がネタバレなんだけど、さっきプリティ・ウーマンて書いちゃったからまあいいか。ヒロインは幼い息子のいる貧しいシングルマザーでお金のために娼婦として働いている。儚げで守ってあげたいタイプだけど芯の強さもある素敵な女性で、気の毒な境遇で精いっぱい生きている。彼女の物語はサスペンス入ってて、それだけでロマサスが1冊書けるくらいだけど、そこに天使と悪魔の攻防に、不思議な能力のあるヒーローの秘密も加わって内容てんこ盛り。でもどのキャラクターのエピソードも面白くて夢中になって読んでしまう。

 ヒーローの恋を後押しする堕天使はシリーズ通じて出てくるもう一人の主役というべきキャラクターで、悪ぶってるけど根は優しく、野良犬を放っておけなくて連れて帰り、ドッグ(笑)と名付けて可愛がってるところにキュンとさせられた。彼が良い具合に話を引っ掻き回してストーリーをさらに面白くしていると思う。盛り沢山な内容で色んな要素が詰まっていて、下手な作家が書いたらとっちらかってしまいそうなところを、絶妙なバランスでまとめ上げて、これだけ長いのに飽きることなく読ませるのは流石だと思う。

 ヴァンパイアのシリーズの続きではなくこれが出たのは意外だったけど、読めて良かった。このシリーズは原書は6作目まで出ているけど、出版社は続きを出す気あるのかな?

Covet: A Novel of the Fallen Angels (English Edition)

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