ロマンス小説感想日記

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海外ミステリー、ロマンス小説のブックレビュー

復縁は甘くひそやかに ベサニー・ベネット

 新人作家のデビュー作。デビュー作によくあるパターンで、頑張って色々詰め込みすぎて少々まとまりに欠ける印象。独創的なストーリーにしたかったんだろうけど、ちょっと奇をてらいすぎているように感じるところもあった。2人が再会する場面を印象的にしたいのはわかるけど、ヒロインが血まみれになってる必要あるかなあ?

 昔のヒーローは嫌な奴で、相続した領地を立て直すのに、持参金付きのヒロインが結婚相手に丁度良いと思って求婚したら、彼女の父親にお前は娘にふさわしくないと言われ、腹いせに友人に彼女の悪口を言ったらそれがゴシップになって新聞に掲載され、彼女の評判をひどく傷つけてしまったという。女性を侮辱するなんて"並外れて体の大きな”男性という割には小さい奴で、ヒロインが怒るのも当然だけど、その後反省し今は自力で領地を立て直すために一生懸命働いているらしい。過去にそんな因縁のある二人が再会して、まずはずっと憎んでいた彼のことをヒロインが許し、それから友人同士になって、父親に結婚相手を押し付けられて困っている彼女を助けるために見せかけの婚約をし、交際中のふりをしているうちに結婚に愛は必要ないと思っていたヒロインが彼を愛していることに気付く・・というロマンス。恋愛に関する色んな要素を盛れるだけ盛ってみたという感じで、もっとシンプルでいいのに・・と思いながら読んでいた。複雑な過去がある割に簡単に恋に落ちていて、あまり設定が活かされていない気がする。実際、ヒーローがヒロインと再会した途端に彼女に夢中になっててかなり唐突な気がした。彼女に憎まれていて、ひどく邪険に扱われ嫌味を言われているというのに、そこに魅力を感じるなんてドMか?!

 ヒーローはヒロインに首ったけで優しくて悪くないけど、彼女が愛していると言ってくれないのがショックで逃げ出したりとか、少し女々しいところがある。ヒロインは領地を管理することにやりがいを感じ、結婚に愛は必要なく妻を放っておいてくれる夫が良いという女性らしからぬ考え方で、男女の役回りが普通と逆な気がするけど、まあこれはこれで面白いと思った。ヒロインはベッドでもやけに積極的でヒーローのための避妊具まで用意していてビックリだわ。

 色々詰め込んだせいでストーリーが散漫な印象は否めず、頑張りすぎたデビュー作の典型的な例という気がするけど、ドタバタ系のロマンスが好きな人ならそこそこ楽しめると思う。あれこれケチをつけてしまったけれど、この作品はAll About Romanceでは評価AでDIK(Desert Island Keeper無人島に持って行くべき本ってことか)らしいのでどうぞ皆さん読んでください。

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